病院局トップ病院局長からのメッセージ

令和5年度を迎えて 令和5年4月1日
 WBCにおける侍ジャパンの大活躍に日本中が沸き返り、東京における桜の満開の知らせに北国でも春の兆しを感じ、そして、コロナ患者が減少している中、この数年の間で最も穏やかな新年度を迎えることになりました。
 局長として赴任し、ちょうど5年が過ぎたこともあり、病院局管轄の市立函館病院(函病)、市立函館恵山病院、市立函館南茅部病院の3病院、そして、市立函館病院高等看護学院に関して、これまでの報告や今後の計画を簡単に述べようと思います。
 函病は2018年春には30数億円の負債を抱え、起債も出来ない状況でした。昨年度までの4年間、本業の医業収支は黒字を続け、それ以前の毎年10億円近い赤字を続けていた状況から抜け出ました。これは、毎週、医療者や事務系の現場責任者が病院運営の意見を出し合い、方向性を検討・確認し、院長をはじめ職員が一丸となり実践してきたことによります。さらに、2020年からのコロナ補助金も相俟って、負債は全て完済でき、それなりの内部留保も確保できました。
 しかし、今の港町の市立函館病院が建てられてから20数年が経ち、建物、電気系統、また医療機器の改修や更新の時期を迎えています。これから10年間で約40億円の資金が必要と見込んでおり、慎重な病院運営が求められます。
 函病へのコロナ補助金は少なくはありませんでしたが、この3年間で1000名のコロナ入院患者を診てきており、道南においてECMOや人工呼吸器を必要としたコロナ重症患者の90%以上は函病で治療しました。それと並行して、道南の唯一の救命救急センター、地域がん拠点病院、TAVIや心臓外科手術の地域の基幹病院として、また、血液や神経内科の専門家を有する病院として、他では診ることが出来ない患者さんの診療に当たって参りました。この間の医療者、特に最前線で患者さんに24時間対応する看護師の労苦は並大抵のものではありませんでした。函病は地域の先頭に立ち、コロナ禍から函館市や道南を守り抜きました。こうした対応への国からの支援としての函病への補助金は相応なものであったと思われます。
 さて、恵山病院と南茅部病院は、函館市に編入され病院局の管轄に入ってしばらく経ちますが、これまでは、函病を含めた3病院の連携はそれほど強くなく、それぞれの病院長の元で病院運営がなされてきました。しかし現在は、函館市の自治体病院としてそれぞれの病院の果たすべき役割・機能を認識し、互いに連携し、それを強化することを始めました。医療者や事務職員の人事交流、日常患者の治療協力、協働での新興感染症への取り組みなどを進め、3病院で総務省が進める公立病院の持続的経営強化を実現したいと考えています。
 市立函館病院高等看護学院は道南で最も高い看護教育レベルを誇っており、毎年優秀な看護師を輩出して参りました。しかし、この学院は道南唯一の看護大学または大学看護学部へとアップグレードすべきであると考えております。多くの函館の優秀な学生が市外の看護大学に進学していますが、そうした学生が函館で学ぶことができ、道内外から函館や道南の看護の指導者となるような人材が集まることが期待されます。
 コロナは今後再び増えてくる危険性もあり、また、自然災害もいつ起きるかわかりませんが、それらにも慌てることなく対処できるような3病院とその医療者の育成に当たって行こうと思っております。
 今後とも、皆様のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
函館市病院局長 氏家良人
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