病院局トップ病院局長からのメッセージ

平成から令和、そして2020年へ 令和2年4月7日
 この4月1日から令和2年度(2020年度)を迎えました。新型コロナウイルスによるCovid-19のパンデミック(世界中の流行)の嵐の中の年度初めとなりました。病院局としての報告や今年度の目標を述べる前に、今回の感染症に関して少し記したいと思います。
 3月末からの、東京や大阪等の都市を中心にクラスター感染(集団感染)が増え、更に、繋がりの見られない陽性患者が急激に増えてきています。オーバーシュートと呼ばれる爆発的感染拡大、医療崩壊も現実味を帯びてきています。有名なタレントやスポーツ関係の方々が陽性になっているのを見ると、不顕性感染また非常に軽度な症状の感染者が、恐らく、現在わかっている陽性者の数倍はいると思われ、函館市内の病院も万全の準備を整えておかなければなりません。
 函館市で唯一、感染症病床を有する感染症指定医療機関である市立函館病院(函病)では、これまで数例の軽症および重症の陽性症例、また、多くの疑似症例の治療に当たって参りました。感染症病棟は一般の病棟や外来とは全く異なる隔離された状態で、かつ異なる医療者によりケアされております。2月26日以降、院内はもとよりこの地域での陽性者は出ておりません。しかし、4月に入っての人の移動は感染リスクをあげますので今後も警戒をしながら対応して参ります。病院局と函病は両輪となって感染対策に当たっており、今回また将来あるかもしれないパンデミックによるオーバーシュートに備え、外来、救急外来、ICUの構造改革を進めていきたいと思っております。
 医療崩壊は防がなければなりませんし、またその一方で、社会生活の崩壊も起こしてはならないと思っています。今回の市民生活、そして地域経済への打撃はこれまでにないものと思われます。新型コロナのパンデミックはグローバリズムにより経済性を追求するだけではなく、国内の一次産業を守り、必要な物資を生産、確保する二次産業の維持の重要性を認識させられました。徐々に、社会生活が戻ってくることを切に期待しております。
 さて、病院局は今、函病のほか、恵山病院、南茅部病院の今後のあり方、運営についても検討を進めています。ともに函病からは車で1時間近く離れており、人口が減少している地域であることは御存知の通りです。しかし、函館の一次産業、また二次産業の要である水産業にとって重要な地域でもあります。
 医療は水道や電気などと同じライフラインです。地域の皆様が安心して住むことができるための医療体制を確保していきたいと思っております。その為の問題は、医師や看護師などをはじめとする医療者の確保です。これについては、函病、恵山、南茅部を一体のものとして人員配置の調整をすることも考慮しつつ検討を進めていきたいと思っております。
 また、市立函館病院高等看護学院に関しても、看護の高度化や特定看護師、各種認定看護師等の分化が期待されてきており、地域にとってどのような形が望ましいのか、関係機関と連携を取って検討していきたいと思っております。
 最後に、昨年度(令和元年度)の病院経営状況ですが、確定はまだしておりませんが、この2月末までは、函病は黒字かプラスマイナスゼロの線上で、恵山、南茅部は少し赤字といった状況でした。しかし、新型コロナの影響で3月は入院患者や外来患者が減少したことから、病院事業全体で数千万円程度の赤字になるのではないかと推測しております。
 令和2年度に入り、新型コロナの終焉時期が見通せず厳しい状況は当分続きそうですが、病院事業の黒字化を図るべく、できるところから構造改革を進めていきたいと思っております。
 今後とも、市立函館病院、市立函館恵山病院、市立函館南茅部病院、そして市立函館病院高等看護学院をよろしくお願い申し上げます。
函館市病院局長 氏家良人
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