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令和3年度(2021年度) 第1回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:令和3年(2021年)8月30日(月) 17:00~18:20
■開催方法:Zoomを利用したオンラインによる開催
■出席者:鎌田委員長,伊藤委員,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,
氏家委員,森下委員,川﨑委員,加藤委員,桐澤委員
■オブザーバー:市立函館病院 佐藤副院長,成瀬副院長,中西副院長
益子看護局長
■事務局:木村管理部次長,船木市立函館病院事務局長,
工藤庶務課長,熊木経理課長,小松医療情報企画課長,
大吉医事課長,崎野医療連携課長,野呂恵山病院事務長,
本間南茅部病院事務長

1.開 会

□熊木経理課長
ただ今より令和3年度第1回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
平成21年度から始まりましたこの会議ですが,本日が最後の委員会となります。
それでは,本日の議事に入らせていただきます。鎌田委員長,議事の進行をよろしくお
願いいたします。

2,議 事

■鎌田委員長
事務局から令和2年度函館市病院事業の経営実績について報告をお願いいたします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
・令和2年度(2020年度)函館市病院事業の経営実績

■鎌田委員長
事務局より説明がありましたが,委員の皆様からご質問はございますか。
では,氏家委員と各院長先生からコメントをいただきたいと思います。

■氏家委員
先程,説明がありましたように,評価委員会はこの9月でひと区切りとなります。平成20
年に改革プランを作成し,これまで評価をしていただきました。この1年間,コロナで非常
に慌ただしい日々を過ごして参りましたが,幸いなことに,病院局全体でコロナの補助金
を除いても黒字になったということは,職員全体ががんばって対応したからだと思ってい
ます。
私が赴任してから3年になりますが,入院患者数が徐々に増えてきております。診療報酬
改定もありますが,入院単価も増えてきており,コロナによる入院患者の減少もありまし
たが,それをしのぐことが出来たと思っております。これも,院長はじめ,副院長,看護局,
すべての職員がそれぞれの役割を認識しながら対応してくれたことによるものであろうと思
います。

■森下委員
令和2年度の経営状況について,簡単にお話させていただきます。当院は,昨年の4・5月
に受診控えの影響を受け,この2か月は各月で前年に比べ新規入院患者数が約250人減少しま
した。さらに12月にも職員3名の陽性者が出たこと,ECMOを含めた重症患者が多かった
ことから,救急医療の制限や,一般入院患者を制限しました。その時にも,新規入院患者数
が約300人減少しましたが,氏家委員がお話したとおり,1日の入院単価が約1万円近く伸び
たことがあり,何とか黒字に持ち込むことができました。この間,介護施設のクラスターが
複数出たり,精神的な問題から措置入院が必要な陽性患者が出たり,非常に病院経営にとっ
ても苦しい時期がいくつかありましたが,職員が一致協力してがんばってくれたおかげで何
とか乗り越えることができ,約8千万円の黒字にできたことは院長として誇らしく思ってい
ます。
コロナの治療も非常にがんばったということで,空床補償の補助金もいただきましたので,
これまで17~18%であった資金不足比率が1桁台になり,起債を申請できる条件が整ったと
いうことも合わせて喜ばしいことと思っています。

■川﨑委員
昨年は医師や看護体制について,病院機能が回るような充足状況だったおかげで,病院機
能を維持することができました。コロナの影響は外来の患者が減ったことくらいです。恵山
病院が関わっている高齢者施設がいくつかありますが,面会制限のためか,昨年の冬には発
熱患者や肺炎の患者がほとんどいなく,高齢者施設からの入院がほとんどなかったことが例
年と違うところです。地域の高齢化率が非常に高いため,ワクチン接種はそれなりに進んで
いると思いますので,高齢者施設のクラスターはないと思っています。去年は発熱外来も患
者はほとんど来ませんでした。発熱外来は,患者が来ないと逆に補填される補助金が増える
という制度になっており,若干の補助金をいただきました。
人員の面で言いますと,今年度は医師が4人から3人に減り,看護師についても不安定な状
況にあり,体調を崩したり退職したりすると病棟や外来が回らなくなる状況にあり,10月か
ら看護師が足りなくなるため頭を悩ませております。函病から当直支援も含めて支援をいた
だいていることに感謝申し上げます。

■加藤委員
昨年は医局の都合で内科医師が引き上げられ大変苦労しました。函病からお手伝いがあり
何とかやることができました。今年は4月から1人増員になり内科2人体制になりました。昨
年は,入院患者は前年度と比べてほとんど変わりませんでした。最近は高齢者が多く,心不
全で胸水がたまって入院してくることが増えています。外来はコロナの関係もあり,受診控
えが多く電話再診が増えました。今年は中山先生が来てくれましたので,去年よりは入院患
者を診ることができると思います。また,病院の建て替え問題についても事務局と具体的に
話していきたいと思っています。今年は昨年よりも入院患者が増えています。療養患者につ
いては,特養の受け入れが進んでおり,現在の療養患者は3~5名に減っています。その分,
一般の患者を入れたいと考えています。単価については,令和元年から10対1から15対1にな
り,かなり落ちているので,入院患者数を維持していきたいと思っています。

■鎌田委員長
各委員からコメントをいただきたいと思います。

■伊藤委員
説明を聞いていてコメントすることはありませんが,市立病院は特にコロナがこれだけの
時に一手に引き受けていただいて市民も感謝しています。役割を立派に果たしていると思い
ます。そういう中で,高稼働率で病床を回し,単価も8万円台ということは,入院制限をし
た中で必要度の高い患者の治療をされたと思います。まさに,地域の3次機能病院としての
役割を果たしてすばらしい業績を上げたので,皆さんのがんばりに敬意を表します。

■高橋委員
コロナに関して色々やっていただき感謝する次第です。疑問なのですが,16億の補助金が
そのまま残ったようになっていますが,コロナにそれほど手間隙がかからなかったと解釈し
てよろしいのでしょうか。

■氏家委員
函館病院は元々結核病棟があり,陰圧室が整備されているということと,感染症病床が6~
11床あり,ハード設備を整える必要があまりなかったということがあります。また,職員に
ついても,患者数を減らしながらですが,やりくりができたことからそれだけ残ったという
ことになると思います。ただ,全国の自治体病院も従来は赤字の病院が多かったのですが,
昨年度は7割くらいが黒字になっています。補助金のあり方については,国において適正であ
ったか今後評価されると思っています。

■高橋委員
マスコミを見ると,コロナで破綻した病院もあると聞いていたので上手くやったという印
象を持っていました。コロナのベッド数はいくつありますか。

■氏家委員
感染の波(surge)によって変えていますが,元々は感染症病棟の6床からスタートし,そ
れから結核病床やECUを使うことになり,今は非常に患者が多いので40床で準備しています。

■高橋委員
逼迫して廊下で寝なければならないという状況ではないのですね。

■氏家委員
函館も非常に危険な時もありましたが,タイミングよく宿泊療養施設がオープンしたり,
他の医療施設での受け入れが開始したりして,今のところは大丈夫です。また,最近では妊
産婦や透析をしている患者を函病で受けることになっておりますので,職員と話し合いをし
ながら対応を決めてきています。

■斉藤委員
函館病院は地域医療の最後の砦であると申し上げてきましたが,コロナの関係ではまさに
そのとおりだと感じております。氏家委員はじめ森下院長,各先生の奮闘に感謝申し上げ,
これからも体に気をつけてがんばっていただきたいと思っております。

■熊谷委員
今後も気を引き締めてがんばっていただきたいと思っております。コロナ関連の補助金16
億8千万円をいただいて,累積資金不足が13億程度になりましたが,令和3年度のコロナ関連
の補助金は国からどのくらい入ると予想していますか。

■桐澤委員
令和3年度につきましては,国から補助金のメニューが全て明示されていないため金額につ
いては未定ですが,おそらく令和2年度を超える金額になると予想しております。

■熊谷委員
現在の累積資金不足が約13億ありますが,令和2年度以上の補助金が3年度に入るとすると資
金不足が解消されると捉えてよろしいのでしょうか。

■桐澤委員
おっしゃるとおりでございます。

■森下委員
補助金のうち空床確保補助金のシステムについて簡単に説明します。函館市におけるコロナ
患者のピーク時の人数概数が想定されていますので,それに合わせてベッド数を何床用意して
ほしいと北海道からお願いがありました。そのベッド数を用意するとそれに応じて補助金が入
ってくるという仕組みになっております。ただ,令和2年度に関しましては,他の施設からの
手上げが少なかったので,当地区の大半の病床を私達が用意するということになってしまった
ため,このような補助金が入ってきました。当該地域で分担する病院の数が多ければ,私達が
いただいた空床確保の補助金も額が少なかったのだろうということでご理解いただきたいと思
います。

■鎌田委員長
新年度に向けて非常に希望があるというお話のようです。
次の議題として,(新)函館市病院事業改革プランの点検・評価について,この委員会の本
家本丸のテーマに入ります。事務局から資料の説明をお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
・(新)函館市病院事業改革プランの点検・評価

■鎌田委員長
事務局から説明がありましたが,ご質問等ございませんか。伊藤委員いかがでしょうか。

■伊藤委員
良い形で結果が出たと評価しております。このままの水準を維持していければ黒字転換し,
資金繰りも問題なく,また,地域医療の役割も十分果たしていけるものと思います。恵山病院,
南茅部病院に関する問題はあると思いますが,地域医療との絡みの中でどういうスタイルにし
ていくか,病床削減も始まっていますので,今後5年間で方向性を決めていく必要があると思
っています。函館圏全体の医療としては,市立函館病院が主幹をなしていくので,3つの病院
の経営を含め,医療の運営についてもかなり円滑に行ったということで私は評価Aに賛成します。

■鎌田委員長
私から質問です。残念ながらC評価となったDPCⅡ群と精神病棟の再開について,DPC
Ⅱ群であれば指標のひとつが足りなかった,精神病棟は医師の確保ができなかったと聞いてい
ますが,新年度はどうでしょうか。

■氏家委員
DPCⅡ群につきましては,病院の土台を作って,その結果としてⅡ群になればいいという
ことで,Ⅱ群になるために何かを変えていくということは考えておりません。
精神病棟につきましても,来年度に1人の精神科医が来ることになっていますが,昨今の精神
科治療のあり方を検討し,市立函館病院が精神科医療においてどのような役割を果たすかとい
うことを考えたときに,単に精神病棟を開けるということではなく,総合病院,救命救急セン
ター,がん拠点病院である中の精神科の役割を考えていきます。経営のために精神科病棟を開
けるという考えを持たないようにしています。

■鎌田委員長
函館市には,精神についての病院が他にあると聞いています。自治体病院として特別に意義の
ある精神の患者さんを除いては,あまり力を入れないという目標の立て方はいかがでしょうか。

■氏家委員
そのとおりで,従来からあった統合失調症などの患者さんを診られる病院はありますが,それ
以外に,がんや急性期の患者さんで一時的な精神的な悩みやリエゾンによる治療が必要な患者さ
んもいますので,そういうことに関する精神科の医師は非常に必要です。精神科の医師がいて,
一緒に治療していくのが大事だと思いますので,それを求めていこうと考えております。

■鎌田委員長
函館病院ならではの役割があるということですね。
総合的な評価はAと考えております。

■高橋委員
デジタル化が業務改善の大きなポイントになりますが,そういう取り組みについての評価があ
りませんが,プランに入っていませんでしたか。

□熊木経理課長
改革プランを策定した際には,デジタル化ということまでは想定しておりませんでしたので,
今回の評価には含んでおりません。

■高橋委員
次の計画を作る際には,デジタル化による業務改善を国でも行っており,経営改革の大きな施
策のひとつになると思いますので,そのような取組をしていただくのが良いかと思いました。

■氏家委員
徐々に進めているところでありますが,黒字となっても今後5年間で50億円の設備投資や機材
の購入についてが議題に上がっていますので,有効性を見ながら進めていきたいと思っています。

■鎌田委員長
函館には未来大学という特殊な力を持った情報系の大学があります。医療との兼ね合いを進め
ると面白いのかと思いますし,特殊な力をもった先生がいらっしゃると聞いていますので,連携
を考えて良いのかと思います。

■氏家委員
未来大学出身の職員も何人かおり,ホームページの管理や医療情報の部分をやってもらってい
ますが,もっと連携があってもいいと思います。毎年,学生の教育の中で作っていくソフトなど
の発表があるのですが,それを形作っていければと職員と話しております。ぜひ函館病院や地域
の医療機関と連携できればいいと思っております。以前からあるMedIka(メディカ)という情報
ツールを使い,函館病院は2年前から精神科を除いて情報をオープンにしています。これにより
紹介患者や病院とのやり取りをスムーズにするという試みは行っています。自治体病院には印鑑
の文化が多く,それらを減らしていこうとしており,特に勤怠管理についても印鑑を無くそうと
しています。自治体病院だけでやることは難しいことであり,市と連携しながら進めていくこと
もありますので,ご指導いただければと思います。

■高橋委員
未来大学はそちらの事務局長とホームページを新しく構築するなど話をさせていただいており
ます。また,プロジェクト学習というものがあり,勉強ベースのものであるため直接使える実用
的なものではないのかもしれませんが,発表させていただいており,少しずつ関係を築いており
ますので,ぜひ来年度以降の計画には入れていただいて,協力関係を結べればと思っております。

■氏家委員
事務局長が高橋委員のところに相談に行っていると聞いていますので,ぜひ進めていきたいと
思います。

■鎌田委員長
情報分野の中で,数値化できない部分の情報化がこれから出てくると課題だと思います。医療
においてもそういうところが非常に大事なところだと思います。そういう所を情報のプロである
未来大学にいる方たちと函館病院が連携して,新しい活路を作っていただければと思います。
長いこと,この委員会とプランにお付き合いさせていただきましたが, 700床近い病床を持っ
ていて,かつ市内には私立から国立まで総合病院がたくさんある,そういった経営環境の中で大
変な赤字であった病院が,このように黒字にたどり着く,あるいは均衡点までたどり着くという
のは,公立病院の歴史上,類まれなことだと思います。これが200床や300床であればあり得るで
しょう。公立病院の経営改革は10年前から話題になっておりましたし,医師が中心となって改革
を成功した,再建したという事例などがありますが,この規模でそういう事例は稀なことだと思
います。それを成し遂げられた病院局長や各院長,現場で責任を持って働いている部門長の方々,
患者さんに直面している職員の皆さんの大変なお力と努力の成果だと思います。この歴史的な局
面に立ち会うことができ,また,こういった改革を実践された先生方とお付き合いすることがで
き,光栄に思っております。これからも安住することなく,ぜひ前を向いて進んでいただければ
と思います。
本日の議題は以上でございます。それを踏まえて,これまで貴重なお時間を傾けてくださった
委員の皆さんに病院への応援,苦言のコメントをいただいてお開きにしたいと思います。

■伊藤委員
市立病院の皆さんも本当に努力されてこのような結果になった。その中でお付き合いできて私
も幸せです。これからの発展をお祈りいたします。

■高橋委員
とりあえずハッピーエンドということでよかったです。ありがとうございました。

■斉藤委員
この場面に立ち会えたことが貴重な時間だったと思います。函館病院と恵山病院の,今まで以
上の密な関係を作り上げて,地域医療を守っていただきたいと思います。

■熊谷委員
長い間勉強させてもらいました。結果が良い方向に向かっておりますが,今後もおごることな
く今まで以上に身近な函館病院として,今まで成し遂げてきたことをプラスアルファになるよう
にがんばっていただければと思います。資金不足比率が17.2%から半分以下の6.9%になり,大変
すばらしいと感じています。新しい南茅部病院を早く完成すべく計画を立てていただきたいと思
います。

■鎌田委員長
これからは,資金不足比率が20%とか,各比率に足を引っ張られるような,行動を制約される
ことがない病院として,自分たちがしたい医療を追求することができるようになりました。最後
に氏家委員お願いします。

■氏家委員
非常に厳しい時期もありましたが,この数年間,地道に努力してまいりました。院長,副院長
などが,事務職員とあちこちの病院を回り,人間関係を作り,また,院内においては,執行部が
各部署の職員とミーティングを行いながらそれぞれの意見に耳を傾けてやってまいりました。
恵山,南茅部病院も含めて3つの病院が連携をとりながら,函館市だけではなく道南において安心
できる医療環境をつくり,また,高等看護学院もありますが,今後どのように進めていくべきか
ということを考えながら,未来大学との連携があるのかもしれませんが,そういうものも視野に
入れて,函館が医療において,それ以外においても住みやすく,訪れたいという街になるように
していきたいと思っています。

■鎌田委員長
これをもちまして,本委員会の終了とします。皆さんありがとうございました。


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