令和元年度(2019年度) 第3回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要
■日時:令和元年(2019年)11月19日(火) 17:00~18:00
■場所:市立函館病院 精神病棟2階体育館
■出席者:鎌田委員長,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,
氏家委員,森下委員,川﨑委員,加藤委員,藤田委員
■オブザーバー:市立函館病院 佐藤副院長,成瀬副院長,中西副院長
益子看護局長
■事務局:桐澤管理部次長,大島函館病院事務局長,本間庶務課長,
熊木経理課長,大吉医事課長,崎野医療連携課長,
船木医療情報企画課長,野呂恵山病院事務長,
佐藤南茅部病院事務長
1.開 会
□熊木経理課長
本日は,お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
ただ今より令和元年度第3回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。な
お,伊藤委員は本日所用により欠席となっております。
それでは,本日の議事に入らせていただきます。鎌田委員長,議事の進行をよろしくお
願いいたします。
2,議 事
■鎌田委員長
事務局から第2四半期の報告をお願いいたします。
□資料に基づいて熊木経理課長説明
・令和元年度函館市病院事業の事業実績(9月末)
■鎌田委員長
ありがとうございました。
病院会計全体としては,入院・外来収益ともに増加傾向にある。去年は経常利益が出て
大変すばらしい年だった。去年と同じベースではないが,第2四半期までは堅調な数字に
なっていると思います。
氏家委員,お願いします。
■氏家委員
昨年よりは収益が増えていますが,薬品と診療材料の削減が思うようにいかなかった。
また,昨年の賞与カットの分が今年は増えます。上半期は目標に達していないと思ってお
ります。しかし,患者数が昨年と同じ傾向で,10月以降増えてきています。10月は函病で
6,600万円ほど目標を上回っているので,このままのかたちでいってくれれば,なんとか大
きな赤字にならず賞与カット無しで昨年並みもしくはプラスマイナスゼロくらいでいける
かと思います。これから5ヶ月ありますので期待を込めていますが,現在の状況では1億2
千万円ほどの赤字と見込んでおります。
■鎌田委員長
現在,起債制限がありますが,解除されるには何%になればいいですか。今現在は何%
ですか。
□熊木経理課長
資金不足比率が10%以下になると容易に起債ができることになります。平成30年度決算
で17.3%となっております。
■鎌田委員長
以前は20%になると国からの指導が入るという心配をしていましたが,17.3%まで下げ
た。もうひと頑張りして10%に届けば医療器械の更新や設備の導入などの投資ができるよ
うになる。材料比率はどのようになっていますか。
■氏家委員
材料の中でも,医薬品が入院,外来合わせると多い。化学療法などで新しい薬ができる
ので,どの病院もそのような傾向にあります。入院中の患者さんに対する材料費が問題に
なるということもあります。
■鎌田委員長
そのあたりを含めて森下委員,お願いします。
■森下委員
薬剤,材料費に関しては,分子標的薬などに代表される非常に高価な薬が出てきていま
す。また,血管造影室での手術が増えており,それに伴い使用する材料の費用が高くなっ
てしまうので仕方ない部分もありますが,無駄な部分もあると思います。クリニカルパス
などで見直して削減に取り組んでまいります。
■鎌田委員長
クリニカルパスという話がありましたが,説明をお願いします。
□佐藤副院長
医療の標準化,効率化がメインで,入院期間をDPCのⅡ以内を目安にして治療すると
いうものです。DPCのⅡを超えるものが多いので,クリニカルパスを使うことで期間内
を増やします。検査などについて,あらかじめ決めて行うことにより無駄な検査を省くこ
とができ,薬も減らしていけます。現在40%ほどの適用率ですが,適用率を上げるため,
主に消化器内科や呼吸器内科など内科系で,化学療法のパスの導入を進めています。パス
を使うことで直接的なことだけではなく,医療者側の意識が変わります。今までの無駄を
あぶりだし,それを現場にフィードバックして無駄な検査や薬を抑えることができます。
しかし,医師や看護師などたくさんの人がいるので,皆が一致して同じ方向に向かうのは
非常に難しいと感じています。
■鎌田委員長
標準化をすることによりコストを下げるということですね。
加藤委員,南茅部病院はいかがでしょうか。
■加藤委員
大学医局からの派遣が厳しい状況になっています。内科の医師は2人ですが,1人は何と
かお願いして日曜日に来て木曜日の朝に帰るという非常に変則な状況です。病院局にもお
願いして函病の先生にも応援いただき,なんとか1週間,穴が無いように診療できますの
で大変感謝しています。
9月と10月は感染症の患者が増えており,一般病床が25名くらいいます。療養病床は少
し減っています。地域にある特別養護老人ホームに余裕ができたようで,今まで療養に入
っていた方が特養やグループホームに移っています。今後,療養は減少傾向にあるかと思
います。
■鎌田委員長
ありがとうございます。川﨑委員,恵山病院についてお願いします。
■川﨑委員
入院も外来も患者数が昨年より増えています。透析施設の整備を進めて,10月に新しい
装置を導入しました。これまで積極的に呼びかけて受け入れるということができませんで
したが,今後は来てくださいと呼びかけられる施設になったと思います。透析患者の数が
減っているという話もありましたが,旧市内など他地域からの受け入れに加え,地元の方
を受入れるかたちになったことから,若干増えています。
また,病院のインフラの整備が十分とはなっていません。酸素,吸引の配管の数が足り
ないとか,本来病院として整備されていなければならないものが整備されていない。また,
PACSという画像を保存するシステムがあるが,道南地域で入っていないのはおそらく
恵山病院だけ。本来あるべきものが無いので,少しずつインフラ整備を行い,経費はかか
るが,標準的な医療水準を保てるようにしたいと考えています。
■鎌田委員長
こういった設備については,病院局などと打合せをされているのでしょうか。
■川﨑委員
昨年から病院局にお願いして,吸引の配管やエアコンを整備して改善しています。
■鎌田委員長
益子局長,函病は今回,前年度より売り上げが増えているようですが,現場の看護師の
皆さんの意見はいかがですか。
□益子看護局長
医師,コメディカルの方々と協力して,削減できる業務は削減し,看護師の業務内容を
見直しています。時間外も若干ですが少なくなっております。看護師がこれからも頑張っ
ていけると思っています。
■鎌田委員長
いらない仕事を削減するということについて,紙が多い,ということや,ベッドサイド
からナースステーションに戻って書類を作るなどがあると思いますが,削減の取り組みに
ついてはどのようになっていますか。
□益子看護局長
紙ベースのものが多いのは確かです。それを電子カルテでできるようにするため,現在,
1病棟で試行をしつつ,全病棟でもできるようにと考えています。それができるようになる
と,現在のようにナースステーションに戻ってきて入力をするということなく,ベッドサ
イドでできるようになり,働き方も良くなると思います。
■鎌田委員長
高橋委員,いかがでしょうか。
■高橋委員
数字についてはうまく進んでいるように思います。
公立病院の再編について記事が出て,南茅部病院の名前も出ました。来年の9月までに
方針を出して2025年までに実施するとありましたが,これについてどのように取り組んで
いるのでしょうか。
■氏家委員
これについては,人口減もありますが,この地区としてはベッド数が多い。その中でも,
急性期のベッドが多い。今後は,お年寄りが増えて,介護が必要になってくるため,厚生労
働省はそちらの方向に動かしていきたい。その流れの中で南茅部病院の名前が出ました。
近いところに同じような病院があるとか,全体的なベッド数に対して入院患者数が少ない
とか,そういう基準に基づいています。この地区では国立,医師会などほとんどの公的病
院の名前が上がっています。病院局としては,函病,恵山,南茅部の3つの病院について
今後どのように考えるかということが大事だと思います。急性期病床が本当にこれだけ必
要か,今後どうするかという話を3つの病院の院長を含めて病院局としての方向を話して
います。他の病院のこともあり,こうしますとすぐに言えないので,少し待とうと思って
います。恵山病院もそうですが,実際にはベッド数を少し減らして運営しています。どの
ような方向で行くかは,地域の病院と連携しながら,どのような地域医療があればいいか
を考えながら進めて行きたいと思っています。
■高橋委員
診療実績で評価したとありますが,ベッドの使用状況などでしょうか。
■氏家委員
それもありますし,救急や手術など9項目の実績に基づいて評価しています。ただ,旧
函館市内のようにたくさん病院があるところと,南茅部のようにそこがなくなったら病院
がなくなるようなところでは事情が違いますので,それを勘案しながら,地域の方の意見
を聞きながらやっていかなければならないと思います。誰でもいけるインフラがあればい
いのですが,そうではない場合は緩やかに進めなければならないという気がします。
■高橋委員
コンサル会社にコンサルテーションを頼んだと以前聞きましたが,そのあたりの事情を
教えてください。
■氏家委員
コンサル会社は入っていましたが,コンサル会社の意見は私達も考えているようなこと
です。しかし,データは欲しかった。ベンチマークといって,全国でどういう薬を使って,
これくらいであれば何日で退院するか,というデータを持っていますので。それに対して
意見を聞いていましたが,コンサル会社だけではなく,成功している病院の意見や,外か
ら見た,私達に欠けていることを聞くようにしています。全てを飲み込みのではなく,こ
ちらの事情を考えて,できそうなもの,できなさそうなものを取捨選択していこうと思っ
ています。去年は看護局,今年は薬局や全体の意見を聞くようにしています。また,院長
は講演会などで情報を仕入れていますので,それらを統合して検討しています。
■高橋委員
この場で報告していただけるとありがたいのですが。
■氏家委員
そこから言われたことだけではありませんが,一番大事なことは入院患者さんを増やす
ことです。外来患者については,外との連携を密にして,逆紹介を多くして,手術や入院
が必要な患者さんを引き受けて,終われば返すようにするのが大事です。これがないと,
例えば盲腸で入院し2日で治療して退院しなさいとなった場合に,次の患者さんがいない
のに退院を続けたら入院患者さんはいなくなります。そのような状況でも患者さんが来る
ようになればプラスになります。今の状況は,函館市の人口減の影響もありますが,その
基準でやっていくとベッドが空いてきます。その基準でやってもベッドを埋めるためには,
患者さんを集めるということが大事です。
それ以外には,標準的な治療です。例えば,カテーテルを1本でいいのに2本3本と使
っているのではないか,薬が10でいいところを15も使っているのではないか,というこ
とをクリニカルパスで見直してもらって,全国と同じくらいの標準レベルにした方がいい
のではないかと思っています。前からやろうと思っていたのですが,人材面などからでき
ず,今年からやっています。
■森下委員
経営改善を達成するためには,収入を増やして支出を減らすことに尽きます。収入に関
しては,患者さんを診て,治して,そしてそれに対する対価を頂いて成り立っております
ので,患者さんを増やすことが一番効果的です。支出に関しては,半分が人件費で34%が
薬剤材料費です。人件費に関しては業務の効率化を図り時間外勤務を減らす。また,材料
費に関しては,一般的な経過を辿る患者さんについてはクリニカルパスというシナリオを
作り,それに則って治療していきます。医師個人個人の裁量はなるべく入らないようにし
て,薬剤材料費を削減していきたいと考えています。
■鎌田委員長
斉藤委員,いかがですか。
■斉藤委員
実績について,執行計画には届きませんが,前年同期から見るとプラスになっています。
自信を持って進めていって欲しいと思います。また,標準化することで材料費を見直せる
ということなので,進めていって欲しいです。
■鎌田委員長
熊谷委員,いかがですか。
■熊谷委員
数字はプラスがあり,マイナスがあり,非常に努力されていることには敬意を表します。
ただ,来年には診療報酬の改定があります。また,過去の委員会で医療機器が老朽化して
おり大変だとありました。氏家委員の話で,収益は上向いていて,決算はプラスマイナス
ゼロか,黒字になれば良いということですが,老朽化した医療器械の入れ替えをするには
マイナスが生じることになります。現状だと医療器械を更新するとマイナスになるのが確
実に見えている。この方向性を教えてください。
■森下委員
熊谷委員のおっしゃるとおりです。ただし,これまで当院に導入してきた全ての医療器
械を取り替えなければいけないか,というとそうではありません。中西副院長が中心とな
り,本当に今すぐに取り替えなければならないもの,また,取り替えなくてもいいもの,
その中間に位置するものは経過を見ながら,必要であれば取り替えるという評価づけを行
っております。
お金に関しては,当院はドクヘリ導入の際のエレベーター建設など大型の投資をしまし
た。この借金返済がここ数年重くのしかかってきましたが,来年くらいから返済の額が減
ってきますので,そこをうまく利用して医療器械の問題も解決していきたいと考えていま
す。
□中西副院長
器材が古くなり,現場でどれくらい老朽化しているかが分かるように台帳を見直して作
り直しています。期限が切れかけているものや,期限はまだあるが弱っているものなどを
抽出して,現場の意見を聞きながら優先順位をつけている最中です。限られたお金の中で
順番をつけ,日常診療に支障が無いようにするのは大変ですがうまくやっていきたいと思
います。現場は新しい器械が欲しい。しかし,医療の基本となるような器械が駄目になっ
たときにはそちらを優先しなければならないので,現場の医師や看護師などと相談,説明し
ていきたいと思います。
■鎌田委員長
話のあった借金の返済について,令和元年度には18億,2年度には16億になります。こ
の数年間で減っていきます。
■氏家委員
前の借金がすごく多い。それが少しずつ減ってきます。しかし,この建物は20年近く経
っていますし,あちこち修繕しなければなりません。また,コンピューターなどを新しい
ものにしなければなりません。本当に必要なものは何なのかを考えながらやっていかなけ
ればならない。本当はプラスマイナスゼロではなくて,年間で2億くらいのプラスになる
ようなことができれば,数年で資金不足比率が10%まで下がっていきます。今はリースで
買っているのでコスト高になっています。ただ,職員は皆で知恵を絞りながらやっていま
すので,可能ではないかという気がしています。そういう意味では,今年は賞与カット無
しで黒字になれるか,非常に大事な年であると考えています。去年の今頃は同じような状
況でしたが,最終的にはプラスになりましたので,そのようになればいいと思っています。
■鎌田委員長
去年は画期的な年で,経常損益で黒字になった。単年度で利益を出せるようになった。
今年は前年度の黒字を維持できるかというところで,今のところは順調にきているのかと
思っています。
事務局に確認ですが,起債制限が解除される10%まであとどのくらい利益を積み上げれ
ばいいのでしょうか。
□熊木経理課長
10%の分母になっているのが医業収益で約170億となっています。10%にするためには,
資金不足の額を17億まで減らす必要があり,現在の資金不足額が約31億となっておりま
すので,14億程度赤字を削減しなければなりません。
■鎌田委員長
あと14億黒字を積み上げれば起債制限が解除になる。1億で14年,2億で7年,それだ
け努力をしていれば市民も何か考えてくれるかもしれません。そういった合わせ技で財務
体質が改善すればいいと思います。
皆さん本日はありがとうございました。
□熊木経理課長
ありがとうございました。次回の委員会は令和元年度の第3四半期の事業実績等を議題
といたしまして,2月の開催を予定しておりますが,皆さんには改めましてご案内させてい
ただきたいと存じます。
以上をもちまして本日の委員会を終了させていただきます。誠にありがとうございまし
た。
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