病院局トップ病院事業経営改革評価委員会開催状況>H29第3回議事概要

平成29年度 第3回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:平成29年11月14日(木) 17:40~19:10
■場所:市立函館病院 精神病棟2階体育館
■出席者:鎌田委員長,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,吉川委員,木村委員,
 泉山委員,藤田委員
■事務局:桐澤管理部次長,大島函館病院事務局長,熊木経理課長,
 野呂医事課長,船木医療情報企画課長,福井恵山病院事務長,
 佐藤南茅部病院事務長


1.開 会

□熊木経理課長
 本日は,お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
 それでは定刻より少し遅くなりましたが,ただ今より平成29年度第3回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。なお,伊藤委員,加藤委員におかれましては本日公務により欠席となっております。
 それでは本日の議事に入らせていただきます。鎌田委員長,本日の議事の進行をよろしくお願いします。


2,議 事

■鎌田委員長
 本年度3回目の委員会を開催します。まず事務局の方から9月末第2四半期の数字について報告をお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
 ・平成29年度函館市病院事業の事業実績(9月末)

■鎌田委員長
 ここまでの数字をふまえまして,各委員から第2四半期の結果の評価と課題,対策を説明いただければと思います。木村委員お願いします。

■木村委員
 ざっくりと言えば,入院診療収入と薬剤材料費で10億円改善しようと思ったのが,半分程度にとどまっている。薬剤材料費がコントロール出来ていないということと、入院件数はそこそこ増えているが手術件数が想定していたほど増えていない、この2点が問題だと考えています。

■鎌田委員長
 ありがとうございます。泉山委員,お願いします。

■泉山委員
 何とか収益を維持できるのは透析患者さんだけで,それ以外の,入院基本料の高い人工呼吸器をつけている方とか医療区分2,3の方の,市内の総合病院からの紹介がほとんど途絶えている。以前は月に5,6人紹介患者さんがおりましたが,今は月に1人か2人。それで入院患者さんが減っていて,そのために収入減になっている。
 話は変わりますが,先月末に公立病院長会議が北桧山でありまして,7病院が集まりました。患者さんの確保もそうですが,それ以上にスタッフの確保が厳しい。医者を始め看護師,レントゲン技師,薬剤師。皆さん高齢化が進んでいて,定年退職された後は確保が非常に厳しいという話題が中心となっていました。以上です。

■鎌田委員長
 ありがとうございました。これまでについてご意見ご質問いかがでしょうか。

■高橋委員
 質問ですが,2ページの給与費の備考欄に正職員が31人,臨時職員が17人減っているとありますが,欠員があるという意味でしょうか。

■事務局
 予算を作成するときに職員数を定めていますが,年度の途中で一定程度職員が辞めていくことはある程度想定しています。ただ,何月に何人減るということまでは決めることが出来ませんので,当初の人数と現在の比較ということで記載しており,差が出るのは想定の範囲となっております。

■高橋委員
 職員は全体で何人いらっしゃるんですか。多いような印象があるのですが。

■事務局
 函病ですと約900人です。

■鎌田委員長
 函館市の職員は函病を除いて何人位ですか。3,000人位でしたか。

■事務局
 2,400人位です。

■鎌田委員長
 それに函病の職員が900人。

■事務局
 恵山,南茅部を入れると1,000人位です。

■藤田委員
 正職員の31人の減ですが,予算で看護師を617人で見ていました。現在は589人ということで,看護師だけで28人見込みから減っております。31人のほとんどが看護師です。

■鎌田委員長
 医師の増減はどうですか。

■藤田委員
 ほとんど増減はありません。

■鎌田委員長
 看護師は28人減少した理由はあるのですか。

■藤田委員
 年度途中で辞める方がいらっしゃいますので。

■鎌田委員長
 当初の見込みどおりですか。

■藤田委員
 少し多いと思います。

■鎌田委員長
 当初の見込みでは大ざっぱにどのくらい。

■藤田委員
 毎年,年度初めから比べますと途中退職で40人位はいらっしゃいます。

■高橋委員
 採用もするんですか。

■藤田委員
 毎年30人程度採用しております。

■鎌田委員長
 毎年30人程度というのは新卒採用ですか。

■木村委員
 平成27年度からは人数が減らないように退職補充を主に新しい人で採用しています。当院の看護師の離職率は全国平均と比べれば低くなっています。全国平均はもっと高いです。

■鎌田委員長
 次に事務局から市立函館病院経営効率化に向けた取組の実績について説明をお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
 ・平成29年度市立函館病院経営効率化に向けた取組の実績

■鎌田委員長
 事務局から説明がありましたが,吉川委員から第2四半期の数字,取組の実績についてコメントをお願いします。

■吉川委員
 前年度比較や予算比較で言えば悪い数字ではないのですが,このままの推移で行くと最終的にはかなり悪い数字になりそうです。手術件数の増加を図れていないことと,入院件数は10月には少し戻してきていますが,前半は予算に対して達していなかったのが大きな要因だと思います。材料費比率に関しましては,努力の結果は少し出てきていると思いますので,後半でもう少し材料費比率を下げる努力と入院件数を増やしていければ予算にかなり近い数字になると考えています。

■鎌田委員長
 ありがとうございます。後段では市立函館病院経営効率化に向けた取組の実績という話でしたが,木村委員,この数字についてはどうでしょうか。

■木村委員
 薬剤材料費比率の目標34%,実績は去年の36.6%から34.6%まで下がっているので、一定の取り組みの成果ではありますが、まだ足りない。1%減らすと1億6千万減ですので,34%まで持っていければかなり改善すると思います。手術の件数が増えないのは,昨年度は,手術をする医者が足りないとか,麻酔科医が減ったからと言っていました。今年は麻酔科医が戻って,手術をする医者もそこそこ増やしたのに手術件数が増やせていませんから,手術を要する患者を獲得する病院の能力をもう1回見直さなければならない。

■鎌田委員長
 手術をする病院の体制は確保したと。

■木村委員
 少なくともこの規模の急性期病院であれば目標の3,300件もそんなに多いわけではありません。もっと高い目標を立てるべきですが,少なくとも今回立てている目標をやるだけの環境を病院としてはそろえたつもりです。上半期に関してはそれだけの患者さんを集めきれていない。下半期はどうやって手術を必要とする患者さんを集めるかということだと思います。

■鎌田委員長
 手術の件数が思ったように伸びないというのは,どうしたらいいのか。

■木村委員
 一つは急性期病院ですから,入院をする患者さんは,救急を除けば紹介していただく患者さんというのが大原則です。紹介率,逆紹介率はこの5,6年で飛躍的に伸びていますが,手術をする患者さんの紹介数がそれほど増えていないことだと思います。もう一つは健診です。特にがん健診を強化して入院する患者さんをみつけ出す,その2本立てと思います。救急は目いっぱい来ているので,ここでこれ以上患者数を増やすとか,手術件数を増やすというのは無理だと思っています。

■鎌田委員長
 紹介率は伸びているとお話でしたが,紹介率が伸びているけれど手術の件数につながっていないというお話ですね。これはどういった要因でしょうか。単純に手術を要する患者さんが他の病院に行ってしまったとか。

■木村委員
 それもあると思います。病院全体としての紹介率,逆紹介率は伸びていますが,手術と関係のない診療科もあります。外科系の診療科でも救急系の手術が多い診療科と,予定手術を本来とすべき診療科があります。また,例えば整形外科は最初から自分達で患者さんをつかまえられます。ところが,消化器外科や呼吸器外科は消化器内科や呼吸器内科から患者さんが来る。あるいは,心臓血管外科は自分でつかまえる患者さんと循環器内科から紹介で来る患者さんのパターンがある。入口が診療科によって大きく異なります。全体としては横ばいから微減ですけれども,非常に大きく増やしている科もあるし,減らしている診療科もあるので,診療科ごとに検討していくしかない。ただ,基本は紹介してもらう患者さんを何とか増やすということだと思います。

■鎌田委員長
 紹介率が伸びた今現在,中央病院や五稜郭病院,その他の中・大病院と比べるとどうですか。

■木村委員
 オープンになっていないのですが,そんなに低くないと思います。

■鎌田委員長
 DPCのデータや総務省の公立病院のデータ,DPCのデータに紹介率はありませんでしたか。

■木村委員
 DPCの数字では入院以外の数字は出ないと思います。当院では大ざっぱに言うと,紹介された患者さんは3分の1くらいが入院します。紹介状の無い患者さんの入院の確率は非常に低いです。救急の患者さんは5割を少し切るくらいが入院になります。紹介の患者さんは入院になる確率は非常に高い。
 あと,どれだけ手術になっているかという話と手術の患者さんのうちどれだけ紹介があったのかという数字は全ての科でわかります。


■鎌田委員長
 先程の第2四半期の数字に戻りますが,函病については多くの数字が対前年比では改善している。対前年比で改善しているのはしばらく続いているんですよね。

■木村委員
 去年は本当に悪かったので、対前年比が良くなるのは当たり前ですが、例えば入院件数で言えば25年度よりも今の方が明らかに多い。

■鎌田委員長
 改善しているんですね。ですが計画におよばない。

■木村委員
 私の理解としては,入院件数も診療単価も確実に上がってきているが、赤字を完全に解消するにはまだ届いていない。1日患者数が大幅に減りましたが、平均在院日数は平成22年度15日台が今は12日台で3日以上詰まっている。同じ結果が出るのであれば,在院日数は短い方が良いに決まっています。入院件数は増えているんだけれども平均在院日数の短縮を全部埋めるほどは増えていない。1日の患者数だけ見るとかなり減っているように数字が出てくる。1回の入院の単価は診療報酬改定で下がりましたが,今は最高値に近くなってきていますから,あまり入院する必要のない患者さんを入れて稼いでいるわけではない。もう一息両方を上げれば目標までいける。他の道で改善できる方法があればいいんでしょうが、それ以外,私の頭では考えられない。

■鎌田委員長
 一般の市民は数字が意味するところがなかなか分からないことがあるでしょうから,私の方で一委員として捕捉しますと,現状の制度を前提とすると,平均在院日数というのは合理的に短い方が良いということですね。それは木村委員がおっしゃったように,病院だから早く患者さんに治ってもらって早く出てもらった方が良いに決まっているという面からもそうですし,一方,診療報酬の体系からいってもその方が稼げるという理解でよろしいでしょうか。

■木村委員
 患者さんが退院した後、次に間違いなく患者さんが入ってくるならそうです。DPCの
診療報酬は,例えば最初の何日が100円で,次の何日が80円になって,もっと長くなったら60円になってと、一日当たりの収入はどんどん減っていく。なので,100円、80円のうちに退院して,次に100円の患者さんが入ってくれば一番良いのですが,入ってこないなら60円でもいてもらった方が良いわけです。

■鎌田委員長
 平均在院日数が減ると同時に入院件数が増えていく,そして,病院の人員や設備のキャパをフルに生かしていく,それが理想的ということですね。現状は残念ながら入院件数,入院収益の確保になる手術件数が伸びない。

■木村委員
 患者数月1,000件が990件でも手術件数がしっかり確保されていれば,そこそこになると思います。今年度、手術が月275件という目標を立てましたが,去年も一昨年もだいたい250件,去年は入院件数が今年より少なかったのに250件。今年は入院件数がかなり増えているのに250件しかない。

■鎌田委員長
 委員の皆様いかがでしょうか。

■熊谷委員
 効率化に向けた取組の実績の中で,入院件数が5,859件で28年度に比べると増えているわけですね。しかしながら,患者数が増えて検査収入が減ったというのはどういうことなんでしょうか。

■木村委員
 DPCという制度では,入院をして検査をすると診療報酬請求が出来ません。外来でやれば請求出来ます。そのため,外来でできる検査はなるべく外来でしてください,入院になったら入院でしかできないことだけをしましょうというのがDPCの基本です。まだ改善の余地があると思っていますが,少しずつだけれどもそういうことが行われつつあるという一つのデータだと思います。

■熊谷委員
 前の委員会の時にも外来で検査をした方がいいと木村委員おっしゃいましたけれども,ある病院では,胃の検査,大腸の検査についても,麻酔薬を使った,あまり患者に負担のかからない検査をして,それで患者数が増えているといった話を聞きました。何日か前に診察を受けて,話を聞いて,それで検査をするわけです。そうすると患者に説明を行う,診察の段階でいくらかでも収入が入る。検査の当日も収入が見込める。実績を見ると15,000円くらいの外来の単価になっていますけれども,これを増やすために,函病でも麻酔薬を使った検査についてはやっているのか,やっていないのか,やっていなければ今後導入することを考えているのでしょうか。

■木村委員
 よその病院のことはわかりませんが,全ての患者さんにそれが良いのかというとわかりません。本来どういう条件の下で検査や治療を行うかは,それをやる人間が一番良いと思う方法をとるべきなので,私の立場ではそれ以上お答えしようがありません。

■熊谷委員
 今現在では函病では麻酔を取り入れての検査は行っていないということですね。

■木村委員
 麻酔という表現がどこまでを意味するのかかりませんが,ある程度の鎮静を行うことはあると思います。少し眠った様な状態という意味であればそれに近いことをやることもあるし,やらないこともある。

■熊谷委員
 今言った病院ではほとんどの患者さんにどうですかと聞いた段階で100%近くやっていると聞きました。例えば,ポリープが見つかって2,3日入院しなければならないような患者さんが,小さいものであれば外来で1時間も休めば帰れると。それでかなり噂になり患者さんが増えていると聞いたことがあるのですが。

■木村委員
 外来で出来るというのは,内視鏡の手技だとかがありますが,麻酔をかけてやったからポリープを取ることが出来て,外来で帰ることが出来たという1対1の対応では必ずしも
ないと思います。

■鎌田委員長
 熊谷委員がおっしゃりたいのは,外来で処置が出来るという事が評判になっている病院があるということですね。

■木村委員
 おっしゃっていることはわかりますし、口コミも非常に大事ですが、一番大事なことは,安全に確実に検査することです。何通りかの中から、一番安全,一番確実と思われる方法を選びます。救急の本当に具合の悪い患者さんから健診まで色々な患者さんが来られる病院ですから,一律にというのは現場としては難しいと思います。

■鎌田委員長
 木村委員,入院前の外来で検査をなるべくやろうという病院もあるというお話がありました。その辺の選択はいかがですか。選択出来る部分は多少患者負担でも選択するかしないかはあり得るわけですよね。

■木村委員
 なるべくやろうというのが,先程示した数字の改善です。必ずやりなさい,入院してからの検査は禁止ですというくらい強烈に縛りをかけている病院も本州の民間病院にはあります。そのくらいやらなければ黒字にならないくらい民間も厳しいですから。出来れば外来でやりましょうということは頑張っていますが,この検査は入院で絶対にやらないとか,絶対に外来でやりなさいとか,それに同意出来ないのであれば、他の病院に行ってくださいと,我々が言えるかというとそれはなかなか出来ない。

■鎌田委員長
 絶対こうするというのと,なるべくこうするというのと,間をどこで選ぶかだと私は思うんですが。絶対でなければいけないなんて事はとんでもない話だし,なるべく程度で現状が変わっていくなら,それならそれで良いでしょうし。

■木村委員
 遠くの方とか,ご高齢の方で付添の方が一緒に来なければいけない方とかは,もう1回来てもらうのはかわいそう。元気な方であればもう1回ぐらい入院前に来てくださいと言っても良いのかなと。そういう判断だと思います。

■鎌田委員長
 現状は病院として現場にこの方向でやりましょうということで,絶対となるべくの間ですね。

■木村委員
 DPCがこういう仕組みなので,外来で出来るものはなるべく外来でしてくださいというメッセージは出しています。ただ,それを外来で必ずというところまでは言っていない。1人1人の職員が経営状況が厳しいということをしっかり理解すれば,今よりも改善のスピードがあがるかなとは思う。目に見えた数字として結果を出すには、患者さん側のある程度の理解が必要。患者さんからみれば、圧倒的に入院でやってもらった方が良い。身体が楽で,来る回数が少なくて,払うお金も少ない

■鎌田委員長
 事務局,DPCで入院前手術比率というようなデータがありませんでしたか。

■木村委員
 入院前にどの程度という数字は把握できていないので,今日出してもらった数字を検査を切り口としてみた数字とすれば、入院収益に占める検査収入の割合は徐々に減っている。それは間違いない。だが,例えば10人入院した患者さんのうち,何人が外来で検査をして,何人が入院してからという数字はこれからつかまえた方が良いかもしれない。

■鎌田委員長
 DPCデータでそういうものがあったような気がしますが。もしあればそれで比較したい。

■木村委員
 細かくなって難しいんですが,入院中にどのくらい検査をしたかはわかります。急性期病院ですから治療なり目的があって入院します。目的のことをする前の検査とした後にする検査を分けて考える必要がある。目的の治療をする前の検査はなるべく入院する前にやってくださいという話と,目的とした治療が終わった後の検査をどのくらいやるかという
話がある。例えばCTを2回撮るのか1回で済ませるのか。治療の後,1週間目と2週間目に撮りましょうとした場合,2週間入院すると2回撮ることになりますが,在院日数が短くなって10日で退院するとなった場合,検査体系を変えなくても1回は外来に移行するわけです。ですから,在院日数の問題も入院の検査件数に関わる。何とかしたいと思っている一番は,目的とする治療などをする前の検査はなるべく外来でという点。患者さんからみ
ても一番わかりやすく、不便だと感じると思います。終わった後の検査回数が7日と14日の2回のところを10日の1回だけにしましょうというようなことは、患者さんは不利益とは感じないと思います。その辺との兼ね合いだと思います。

■鎌田委員長
 私が申し上げたかったのは,先程木村委員がおっしゃったように,患者さんにとっては入院前検査はコストの面でも負担の面でも気楽さの面でも面倒なだけだと。ただ,病院の収益や利益を考えればあえてやった方が良いのかという課題,そういった課題が他にもあるのかもしれない。市立病院が存続するためには患者さんにお願いしてもあえてやるという姿勢はあっても良いと思います。赤字で市の財政がもたなくなるというよりは,函病があってくれた方が良いという市民の声もあると思います。中にはそういったことを積極的にやっていきましょうという案だってあり得る。あるいは逆に言うとそういう判断を今後していかなければならないかもしれない。というあたりは吉川委員,木村委員いかがですか。

■木村委員
 まだ改善の余地は残されていると思っているので,その徹底はしようと思っていますが
,どこまでとことん踏み込めるかということは程度問題です。

■鎌田委員長
 お医者さんにとっても負担になることもあり得るわけですね。

■木村委員
 それはなかなか難しくて,入院してからやった方が楽な場合もある。例えば遠くの人だとか先程も言いましたが,あの人はいいのにどうして私はダメなのかと近くの人もおっしゃいます。それを強烈に,もしくはあの人は付添がいなければいけないと言い切って,あなたは若くて元気で通えるんだからダメと言い切る作業は現場ではもの凄く大変です。

■熊谷委員
 患者からしてみると,時間的に余裕がない人もいるわけです。そうであれば,外来で検査結果が出る方が良いわけですよ。おのずと患者さんが増えてくると少しでも収入の面で増えてくる。そういう方向につながるのではないかと思います。そういう方向でやっていただけないかという事ではなく,患者さんによって色々違うでしょうから,患者さんの了解を得た中でやっていただければと。

■木村委員
 こういう意見があったことは現場に伝えます。

■鎌田委員長
 入院,外来,手術のことに話が集中してしまいましたけれども,こういった議論の議題,材料というのは今日の資料を含めて山のようにあります。その辺は順を追って解決していかなければならない,解決ポイントを上げていかなければならないと思います。これは事務局にもお願いなのですが,効率化の取り組みへの実績という今回の資料,私の感覚からいうと,改善のための何かポイントになる数字を上げていくといったときには,悪い方の数字を取り上げて暦年比較したり他病院と比較したり平均比較することが改善に効果があると思います。現場の医師も看護師も必死の努力で残業しながらやっていると思いますので,いい数字を取り上げて良く出来たというのはもちろん大事なことですが,一方でうちの病院はここの数字が足りない,木村委員がおっしゃった手術の件数などもしっかり取り上げていかれるのが大事かと思います。パブリックセクターというのは最後に選挙で受かった議員の先生とか市長さんに良いよと言ってもらわなければ始まらないので,良いですよと言ってもらうための説明が得意なんですね。ここに課題があるということを掘り下げていかないと改善への実行が出来ない。今回は2枚目で手術件数を取り上げています。ここ2年は横ばいと。木村委員の話と整合していて,木村委員,手術件数を上げれば収益の改善,利益の改善につながるんですか。

■木村委員
 もう少し細かく言えば,どういう手術の患者さんを取るかということもあります。

■鎌田委員長
 我々が進めなければならない改革とか改善というのは市民の理解をもらわなければならないんです。

■木村委員
 1日2日で帰ってしまうような手術で20~30万の収入しかなくても,1日単価にしたら10万を超えていますから,どんな手術でも収入は上がります。ただ、心臓や消化器や整形のようなメジャーな手術は特に収益性がいいわけで,しかもある一定の数はあるわけですから,そういう手術をしっかり増やすということです。インパクトでいえば手術の大きさは十分関係しますが,どんな手術でも収益に貢献します。

■鎌田委員長
 紹介件数が激増しているのに手術件数が増えないのですか。正解が見えているけど出来ないということはありますか。

■木村委員
 この地域の手術を必要とする患者さんの数は2025年まではほぼ横ばいと想定されます。
ただ,全体の数は同じでも必要とする手術の種類は変わります。例えば,若い人に多い病気の数は減るがお年寄りに多いのは増えていく。そういう中身の変化と当院の診療科との兼ね合いです。それから,函館は明らかな病床過剰地域ですから,どこの病院も手術の患者さんを取りたいと思っている。そういう中で増えた科があるが持って行かれた科もあるということです。全体の数が変わらなくて、どこの病院も厳しいから手術の件数を増やしたくて取り合いになるという状況にある中で、目標まで増やすほど取れていない。

■鎌田委員長
 要は,地域の需要数はあまり変わっていない。うちが増えないんだとすれば他病院に取られたと。

■木村委員
 増えてはいないがそれほど減ってもいないから,他病院も同じくらいでは。多かったときに比べたら200件位減っていますが、うちで持っている数は3,000件位で,全体は変わらないから他の病院に行っている数もそんなに変わっていないと思います。完全に一人勝ちして増やしきったところはないと思います。我々は患者が横ばいの中でシェアを増やそうとしたが,そこまでの力が今のところはないという事だと思います。

■鎌田委員長
 今の時点ではそれまでの力はないという部分ですね。

■熊谷委員
 委員会がある度に木村委員がおっしゃっていますが,手術の患者数を増やしたいと。そういう努力はしていかなければならないというのは当然だと思います。しかし病院改革プランの中で病床数を減らす方向でいますよね。そういう方向で行ったときに患者が増えていくんだけれども体制がどうなのかという思いがあるんです。

■木村委員
 今年立てた目標は月1,000件,年12,000件の入院で,平均在院日数を13日にすれば1日平均460人の患者数となる計算です。460人の患者が入院すると今のベッド数では利用率90何%です。今の実績は12.4日ですから月1,000件で440~450人だと思います。10月を見ると1,045件入院したけれども一日平均患者数は432人,これが仮に手術が270件あったらきついと思いますが、10月の1,045件で十分ペイする数字です。ベッドを減らすとありましたが,実際には運用しているベッドは472床ですから,472床から減らすつもりはありません。運用病床のほかに,許可病床というのがあって,いまは1病棟閉鎖しています。平均在院日数少し増やして,460人,470人の患者さんを診るためには今閉めている病棟を開けなければなりませんから,またそこで人件費や材料費がもの凄くかかります。現実的には440~450人の患者さんでペイする急性期病院がどういう構造になっているか,ということを考えていくしかないと思います。それ以上患者を増やすことは無理です。

■熊谷委員
 患者を増やすのは無理だとしても,プランで病床数は減らしなさいという指導がされてくるわけですね。今木村委員が言ったとおり480床から減らすつもりはないんだと。函病はそう思ってもプランで減らしなさいと言ってくるわけですよね。

■木村委員
 うちの病床は668床です。200床近く減らしています。

■熊谷委員
 ベッドを減らした中で患者数を増やしていくという努力をしたい,ということでよろしいでしょうか。

■木村委員
 そういうことです。530床のベッドを運用する病院であれば,全く違う患者層を設定していかなければならないと思います。函館はベッドが過剰で余っている地域ですから,そういう患者さんを診てもらえるところがたくさんある。急性期の分は我々が診ないと他では収容しきれない部分がある。1日平均400人で回せる病院を作れと言われたらすごく厳しいが,440~450人というところで,今の国の方針や診療報酬であれば黒字化を目指せると思います。

■鎌田委員長
 数字の話ですが,事務局の方でこの規模の病院を472床で回した場合に固定費の負担とかで,元々472床で作った病院だったらこのくらいで済んだという費用,そういうのは目に見えるものはありますか。建物の減価償却費くらいですか。

■事務局
 建物を建てたときの企業債の償還金がいくらかというのは分かります。ですが,一般病床で604床という数字でスタートしており,472床であれば,というのは,機械的に病床数で割り算した結果が正しいとは言えないと思いますので,なかなか難しいのかと思いました。

■鎌田委員長
 目に見えてこの分がコストとしては発生していますというのはそんなにはない。建物の減価償却費くらいですね。休床したら休床したなりの規模でやっていけば出来るということですね。そこを目指すということですね。

■熊谷委員
 人件費が減るということになるんですね。

■木村委員
 今は12,000件の入院と1日平均450人くらいに必要な数が配置されているので,今より増やす必要はないと思いますが,減らす必要は全くない。今回出ていませんが,我々の病院は1日単価がもの凄く高いんです。多分全国でもトップクラスに高い。それは人をつぎ込んでそれに対しての収入を得ているわけです。今目標としている数に関して,人を減らすという発想は全くありません。それから,1人雇えば人件費以上に儲かる分野がまだまだあります。つぎ込んでも元を取れない職種もありますけれども,いくつかの職種では1人雇えばその人の人件費の1.5倍くらい稼げる職種もあります。そういうのは増やして良いと思います。

■鎌田委員長
 私は逆に不思議なのは,休床したけれども費用総額,人件費はそんなに落ちていないんですね。

■木村委員
 精神病棟には20数人看護師がいました。精神科で毎年売上げが4億以上ありました。精神科を閉めて,精神科の看護師はそのまま院内に配置しましたから,その分は明らかにオーバーしています。ただ,その時から補充の数を少しずつ減らしていって,一般病棟を診るのに良いくらいの看護師の数になったので,この後は退職と同じくらい採って減らさなくていい数字くらいまで持ってきました。

■鎌田委員長
 退職補充の仕方,採用の仕方で調整してきたということですね。

■木村委員
 今まではそうです。これからは難しいかもしれません。というのは1年,2年は問題ないかもしれませんけれども,看護師さんの病院以外での需要はもの凄く増えると思います。地域包括ケアとかそういうところで。

■鎌田委員長
 採用が困難になるという意味ですね。

■木村委員
 地域で必要としている看護師の数が増えているけれども,地域全体の看護師の数は増えない。しかも,東京とか札幌の看護師の需要はもっと増えます。7対1という看護基準が始まったときに東京や大学病院が連れて行ってしまったということが起こったわけで,この地域に必要な看護師がどれだけ残って,病院に勤めて,その中で市立函館病院に残るかという事に関しては色々考えないと,今までみたいにうちに看護学校があるから辞めた人数くらい採用すれば何とかなりますという状況がずっと続くことはないかもしれない。2,3年経つと削られるかもしれない。

■鎌田委員長
 余剰じゃないかということを心配するよりもこれから取れないんじゃないかという心配をしておいた方が良いと。

■木村委員
 我々は手数をかけてしっかり治療して単価もある程度稼ぐということを目指していますから,それに必要な人数を確保できるかということが将来的には問題になるかもしれません。

■鎌田委員長
 吉川委員いかがですか。

■吉川委員
 考え方ですから,今すぐ不足になるかどうかわかりませんが,看護師が在宅とかそっちの方に移行する方が逆に難しいと思っています。病院に勤めたがる看護師の方が多いのではないかと。需要は在宅の方にかなりシフトして必要なはずですが,現実的にはそっちのほうが補充が大変かなと思っています。病院は不自由しないのではないかと私は思っています。ただ,ふたを開けてみなければわかりません。在宅の方は高い給料を支払えないはずですし。

■鎌田委員長
 先程は休床して余剰なのではないかという話があって,逆に木村委員のお話で将来の不足に備えるという観点もあるだろうというお話がありました。

■吉川委員
 人件費比率というのは非常に考え方が難しくて,うちの病院ではある程度の患者数が維持できないと人件費をカバー出来ないという構造になっています。それが最低ラインで平均在院患者数460人位と木村委員がはじき出していますけれども,460人でもプラスマイナスではマイナスになっているわけですから,非常に難しい。それで,材料費の方を下げていって460人に済ませるようにしなければ生きていけないという仕組みを強調している。

■鎌田委員長
 結局のところ,利益というのは売り上げマイナス費用ですから,売り上げを増やして費用を減らすというのがあるわけですね。

■木村委員
 売り上げの上限はここまでだと大体想定できるわけで,今年の診療収入は160億位になると思います。来年度以降診療報酬はマイナス改定になるでしょうから、162~163億プラスマイナス1%くらいというのが常識的な姿です。今よりも診療収入は2~3億位は増えるかもしれないですけれども,診療収入が170億になるということはない。ですから,上限は多かったら165億,少なかったら161~162億の中でプラスマイナス1%位の赤字だったり黒字だったりに抑えるにはどうすればいいか。それで使える薬剤材料費をある程度抑える。人件費は診療収入の51%プラスマイナス1%,薬剤材料費は今年は34.6%と数字が出ていますけれども,34%位にはなると思います。33%ならいいのかまだ足りないのか,32.5%まで下げなければならないのか。それで最後に残った企業債の返還とか増えている部分がどれだけカバーで出来るか,引き算で見ていくしかないと思います。

■鎌田委員長
 他に質問などはありませんか。

■高橋委員
 逆紹介の患者さんで,手術をしなければならない人を他に紹介してしまうようなことはあまりないと思いますが,病院の都合であるものですか。

■木村委員
 ゼロではないと思いますが,月に10件も20件もあるようなものではない。

■高橋委員
 紹介してくれる病院は個人の病院ですか。

■木村委員
 ほとんど開業の先生です。あとは療養の病院で入院している患者さんが急性期の治療が必要になった場合。それと,この地域に血液内科や神経内科は当院しかありません。骨髄移植だとか本格的な治療をしようと思えばここにしかありません。それはどこからでもあると思います。消化器内科や循環器内科はほとんどの病院にありますから,そういうところの病院からは来ません。

■鎌田委員長
 本当に難しい問題で,数年前にこの委員会の委員の時に,この委員会は委員の1人として参加していて,こういうことが達成できたとか前進があったと思いづらいといった記憶があります。本当に大変なことです。吉川委員,木村委員,一つお願いなのですが,いろいろ出た数字,資料,率,割合を次の回までに少しまとめてみます。お忙しいところ恐縮ですがまとめてみたらこんな数字が出たんだけど,ということでご相談に上がっていいでしょうか。プロの意見を聞いてみないとわからないので。

■木村委員
 委員長に言われる前に、必要な数字はこちらの方から出します。

■鎌田委員長
 木村委員からそういったお話があったからというわけではありませんが,実は今日までの間,事務局とずいぶん数字のやり取りをしました。ここの数字を直してみてはいかがですかということも申し上げてきました。事務局の方では本当に一生懸命に対応してくれました。そういう努力の成果が上がってくるように努めたいと思うので,事務局も含め皆さんぜひともよろしくお願いしたいと思います。事務局にお返しします。

□熊木経理課長
 時間となりましたので終了したいと存じます。次回の委員会は29年度の第3四半期の事業実績等を議題といたしまして,2月の開催を予定しておりますが,皆様には改めてご案内させていただきたいと存じます。
以上をもちまして,本日の委員会を終了いたします。本日は誠にありがとうございました。

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