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平成27年度 第2回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:平成27年8月26日(水)17:30~19:35
■場所:市立函館病院 2階講堂
■出席者:岩田委員長,鎌田委員,東福委員,吉川委員,木村委員,泉山委員,加藤委員,藤田委員
■事務局:秋元次長,本間庶務課長,田中経理課長,野呂医事課長,大島医療連携課長,船木医療情報企画課長,福井恵山病院事務長,佐藤南茅部病院事務長


1.開 会

□秋元次長
 ただいまより平成27年度第2回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
 今回の会議から新たに委員に加わります,恵山地域審議会会長の東福委員から一言ご挨 拶をお願いします。

■東福委員
 このたび初めての参加でございます。色々勉強することもあると思いながら,配付され た資料を見させていただいております。今後ともよろしくお願いします。

□秋元次長
 ありがとうございました。
 本日,伊藤委員と熊谷委員が公務により欠席となっております。
 それでは,議事に入らせていただきます。岩田委員長,議事の進行よろしくお願いいた します。


2,議 事

■岩田委員長
 みなさんお忙しいところご苦労様です。本日の議題は3点ございます。いつものように議 題ごとに事務局から説明をいただき,皆さんのご意見を聞いていきたいと思います。事務局 の方から説明をお願いいたします。


□資料に基づいて田中経理課長説明
 ・平成27年度函館市病院事業の事業実績(6月末)


■岩田委員長
 ありがとうございました。第一四半期の説明を受けましたが,委員の方から質問いかがで しょうか。
 第一四半期なので数字の深掘りをしてもしょうがないのですが,前回,前年度の決算の報 告を受けたときに,27年度については赤字だというお話で,我々としてはそれでいいという わけにはいかない,何かの手を打っていただきたいと強く申し上げたところですが,それに つきまして木村委員から,いろんな活動をおやりになっているという報告がありましたので, そこをまず説明いただいて,皆様方のご意見を伺いたいと思います。

■木村委員
 机上に配付した資料ですが,7月までの4か月分の成績を踏まえた函館病院長の考えです。 今年度は2億6,000万円の赤字予算を組んでいますが、現状のままで経過した場合は5億円程 度の赤字になるかもしれない。そこをどのように改善するのかが一番の問題です。
 地域の中での役割を決め,急性期・高度急性期に特化していくというのが現在の当院の 方針です。そういう患者さんを集める,単価を上げるということが第一点だと思います。 先程,単価が予算を下回っているという説明がありましたが,一日入院単価は6月は7万円 を超え,7月は7万1,000円と予算を上回ってきています。単価については、取り組みの結果 が少しずつ出て来ていると考えています。
 ただし,今の入院の患者さんの数では,その単価の増で問題を解決するまでには上がっ ていません。そのため単価を上げる取り組みと,入院患者数を増やす取り組みを,今年度 に関しては両方やる必要があります。
 今年度の救急搬送の受入件数の目標を5,000件としていましたが,実績からは4,600件程 度と想定されます。ヘリ搬送の受け入れが想定よりも増えていないことによります。これ を踏まえて、輪番制度の中で救急車の受け入れをお断りしている部分があるので、救急搬 送をもう一度しっかり受けようと考えています。
 それ以外の通常の入院をどうやって増やすか,難しいところではありますが,常時、入 院日が決定している患者さんが100人以上,決定していない患者さんが100人以上います。 患者さんや診療科の都合で,なかなか病院側で決めることはできませんが,入院を待って いる患者さんがこれだけいるというのですから、入院患者数はもう少し増やせると考えて います。単価と患者数の両方の面から、予算の達成までもっていきたいというのが基本的 な考えです。

■岩田委員長
 今のお話が資料のどの部分かご説明いただけるとわかりやすいのですが。


■資料に基づいて木村委員説明


■岩田委員長
 非常に多岐にわたっているので必ずしも今の説明で理解が出来たわけではないですけれ ども,まず鎌田委員から質問をお願いします。

■鎌田委員
 こういった資料でご説明いただいたことに心から感謝いたします。

■岩田委員長
 次に東福委員お願いします。

■東福委員
 今の説明で,前向きな企業努力がうかがえます。赤字を2億台まで下げたいという,努力 目標と理解してよろしいでしょうか。

■木村委員
 基本的な目標は単年度黒字と考えます。もうひとつ,自治体病院として経常収支比率と いう指標があります。本来の目標は経常収支比率100%以上と考えます。ただ,投資だとか 回収だとかという問題がありますから,1年1年はやはり難しいところです。最終的に何年 かのスパンで経常収支比率100%以上を目標としたうえで,単年度予算が組まれていると理 解しています。去年が約8億の赤字で,それを全部詰めるのは厳しいだろうという状況で, 2億数千万の赤字予算を組ませていただきましたから,少なくともこの2億数千万の赤字予 算は何とか達成するということを最低限の目標と考えています。

■岩田委員長
 よろしいですか。では私から。
 初めてこのような資料を出していただき,それなりに理解するところはあるんですけれ ども,あくまでこれは目標形であって,これを実現するためのDoプラン,実現するための アクションはどのようにおやりになるのでしょうか。

■木村委員
 今の見込をまず申し上げます。単価については、計画を粛々と実行していけば、ある程 度上がると考えています。問題になるのは支出の部分をどうやってコントロールするかと いう点と,単価の増では追いつかない部分をどうやって入院患者数で確保するかの2点です。
 収入については、診療収入を検討する委員会,支出に関しても専門に検討する新しい委 員会を作り,具体的に検討しています。コストカットに関しては全国ベンチマークという これまで使っていなかった手法を用いています。一番難しいのは,入院件数の確保です。 入院件数については4~7月の実績を3倍した想定件数よりも500件くらい増やしたいと考え ています。救急の分で160件程度は見込めますが、残りをどうやって確保するかという点が 一番の問題です。現場で頑張ってもらうしかないという部分もありますが,入院予定,入 院決定している患者さんがこれだけいらっしゃるわけです。入院支援センターという組織 を10月に立ち上げて,効率的に回すことを検討中です。

■岩田委員長
 これだけ多岐にわたった目標があっても,どなたが何をやるかという,実現のための組 織体制が固有名詞レベルでないと動かないと思いますが。

■木村委員
 院長就任以来の方針として,委員会で責任を持って担当する体制をとっています。委員 会には必要と考えられる現場の人間がみんな入っています。委員会の議事録は院内ホーム ページに公開されていて,全ての職員が議事録を見られるようになっています。委員会で 検討して決定したことは管理部門に上げ,管理部門で承認し,病院全体に周知します。診 療報酬に関する委員会も,コストカットに関する委員会もそのようにやっています。ほと んどの委員会で私が委員長をやっていることには問題があるとも思います。もちろん副委 員長は付けていますが,各部門がそれぞれやりたいことを主張するときに,かなり力をふ るわないと決められないときが病院という組織では多々あって,病院長が委員長をやった 方が最終的には早く決められるということがあります。少しずつシフトしていかなければ ならないとは思っています。

■岩田委員長
 PDCAという言葉がありますが,個々の委員会が機能しているかチェックをし,アウトプッ トが期待どおりでているかという査定を必ずしなければいけない。院長が委員長だとそう いう機能を果たせないし,もう一つ心配なのは,いくらパワフルでも1人にこれだけのもの が集中するとフォローしきれないときが来るのではないかと。これだけの計画をやるのに あまりにも中央集権的過ぎるのではないかと。もっと権限を分散する方がいいのではない かというのが私の個人的な経験からの意見です。

■鎌田委員
 岩田委員長からそういうお話がありましたが,いろんな見方があると思います。委員会 方式の最大の欠点は,責任を取る人が出ないことです。院長が自ら委員長を買って出て, 場合によっては自分の力で進めようというのは,私は凄いことだと思います。委員会方式 の欠点は,人事権のある縦のラインの組織と違うところで委員会を作るからです。自分が 委員長をやれば縦のラインが出来るので,私はそれでいいのではと思います。
 一方で,岩田委員長がおっしゃった後段の部分,いくらパワフルでも,という部分です が,これは確かにあまり一人で背負っても大変で,そういう意味では,目標を絞り込んで はいかがでしょうか。

■木村委員
 おっしゃられたことは理解しているつもりです。立ちあげ時は、私が直接担当した方が 良いと考えますが,引き継げるものはいくらでもあります。ただ、救急5,000件受けよう という年度目標は,昨年度のうちに委員会で話し合って目標を立てて,そのために救命救 急病棟も2床増やしたし,スタッフの配置もしました。このように救急委員会で立てた目 標ですが,今の実績でいうと5,000件はとても無理だろうとなった時に、委員会で全てを やるには時間がかかりますから,少しルールを変更してでも5,000件取るために,こうい うふうにやりましょうという判断は私が病院長として行い、委員会で承認を得てやりまし た。そういう意味では使い分けをしています。
 入院の患者数の問題も,予算を立てるときには何人いて単価いくらでのような予算立て になっています。ですが現場の感覚で患者さんをコントロールするのは,どれだけ受けら れるかという入院件数です。早く患者さんが退院できるようになれば、それだけ患者数は 少なくなりますが,それは大変良いことです。その時にそれに見合った入院件数を取れる かということが病床管理で一番大事なことです。ですから目標も,何件入れるという形に した方が良い。あとは平均在院日数を設定すれば,最後に計算上の入院患者数が出てくる。 入院患者数を目標にするのではなく,入院件数と,単価と,平均在院日数をどれくらいに するかを考えて,最後に入院患者数が出てくるという目標のたて方にこれからは変える必 要があると考えています。
 それぞれ委員会で目標を設定して,できたところ,できないところはあります。いわゆ るPDCAサイクルが回っているかといわれれば,クルクルとは言えませんけれども,目標の 設定と評価,それから次年度の目標の見直しということは委員会でそこそこやっています。

■鎌田委員
 このスライドの中に「No margin,No mission」とあります。お金がなければ夢も実現 できないということです。そういう意味で,制度上の枠組みも公立病院にはありますから, 今年度末だけを見れば,クリアしなければいけない数字というのがあると思います。その ための目標をもう少し絞ってはどうでしょうか。スティーブ ジョブズは3つ以上のことは できないと言っていたそうです。そういう発想があってもいいかなと思います。

■木村委員
 優先順位は当然付けたいと思います。ただし,これとこれ,と言ってしまうと,残りは やらなくてもいいとなるのは困ります。

  ■鎌田委員
 公的団体,パブリックセクターが大変なのは,公的な使命があるというのもそうなので すが,民間企業と違って潰れることができない。自分が職を失いたくないと思えば頑張る という面があるんですよ。パブリックセクターは予算があれば潰れません。木村委員がおっ しゃったとおり,どうやって動機付けをするかは凄く大変です。院長が引っ張っていくと いうのは,良いスタイルだと思います。

■岩田委員長
 私は全く逆の意見を持っていまして,今年度のこういう活動はスケジュールのスタート 地点に近い位置になっているからいいですが,必ず疲れてきます。ですから,これがダメ になれば自分の首が飛ぶとまではいかなくても,メンツが潰れるとか,そういう立場に中 心人物を追い込まないと,私は動かない気がします。そこをどの時点で委譲していくか。 院長はあくまで先頭の旗振りだけやって,自分が自ら手を出して引っ張るというのは,で きるだけ早い時期におやめになって,誰が責任を持つかということが本当に必要だと思い ます。是非早いうちに,身を引くのではなくて,どんどん下に責任とアクションを任せた 方が良くて,チェックだけをする方がいいと思います。

■鎌田委員
 声をかけても踊らないということだと思いますが。

■岩田委員長
 そこを踊らさなきゃいけないんですよ。

■鎌田委員
 いくら言っても踊らないのは,パブリックセクター特有の問題だと思います。民間会社 であればなんだかんだ言っても言われたらやる。クビにされたくありませんから。

■岩田委員長
 今期はこれだけ赤字がありますという数字の説明があっても,赤字があるということは, 市民の税金で補てんしてくださいということです。我々の企業では絶対に言わないです。 これだけ足りなければこういうことをやって埋める努力をします,1年後に実現できなけれ ば言った人が責任を取って首を切られる,という話です。そこが全然違うのでリアリティ がないと言っています。

■木村委員
 今年度,予算が赤字という特殊な状況だということは充分に認識しています。置かれた 状況でリアリティのない黒字の予算を組むのもおかしいですから,しんどくてもぎりぎり 達成できるのはこの線と考えた数字です。石にかじりついてでもという線だと思っていま す。その上で,もちろんもっと詰められればいいと思っています。
 もうひとつ,来年度以降の収益に繋がっていくような詰め方をしないと,とりあえず苦 しいから別なところでちょっと儲けましょうでは,長い目で見るとダメだと思います。
 赤字が出れば責任を取るのが当然ということは,もちろん病院長ですから,充分にわき まえています。

■鎌田委員
 赤字の予算というお話が木村委員から出ましたが,赤字の予算を組まれたことにも改め て敬意を表します。もちろんいろんな議論はあると思いますが,パブリックセクターの最 大の難点は,赤字でも責任を取らなくてもいいところです。そうすると現実を見なくなり ます。潰れないからそれで済んでしまいます。赤字であればまずその現実を見る,なるべ く実態に則した数字にするというのは,パブリックセクターの場合非常に重要です。叱ら れながらでも,3年後に黒字が出ればそれで良いわけです。そう思っています。

■岩田委員長
 そこまでは全く異議がありません。それをどうやるかという計画書のところだけなんで す。次回の委員会の時に必ず経過報告をお願いできませんか。

■木村委員
 職員にもそういう形で説明していますから,単価などの数字を出して報告したいと思い ます。例えば26年度と27年度を比べると,入院の薬剤材料の比率は明らかに下がっていま す。今回説明した特別なこと以外の,通常の努力でも,効果は少しずつ出て来ています。 これが継続して出るかというところは,この表に次回には8~9月の数字が載るわけですか ら,しっかり皆さんにみていいただけると思っています。

■岩田委員長
 どうもありがとうございます。
 救急の不応需を下げるというのは実数で現れるので我々も理解しやすいですが,それ以 外の部分のエビデンスの掲示もお願いしたいと思います。

■木村委員
 予定入院患者をどうやって増やすかというところは,今の段階では救急のようなエビデ ンスはありません。結構努力目標です。

■鎌田委員
 そういう意味では,3か月後の顛末,実績という結果の数字が出れば。いくつもある目 標の数字の,でき上がった結果の数字で示していただければと思います。

  ■岩田委員長
 これは答えてもらわなくても結構ですが,私もこういう立場に立って,実は色々な病院 の先生方,経営者の方と会う機会があるのですが,他の病院も決して潤沢に患者さんをお 持ちになっているわけではないです。お互いに取り合っている中で,車で言えば市場です が,そのあたりを長期的にお考えいただきたいと思います。

■木村委員
 この問題は予定入院の患者さんをどうやって確保するかということに集約されます。入 院していただければ,ある一定の収益性の高い診療体系を構築できるということは,エビ デンスつきでお話しできます。予定入院患者をどこまで確保できるかは,個々の診療科ご との対応まで踏み込んで進めていかなければ難しいだろうと考えています。

■鎌田委員
 何年か前に,設備投資ができない時期がしばらく続いて,市から特例債の償還資金を出 していただいたので,それを解消したという記憶があります。資金不足比率による制限の せいですが,とにかく我々がクリアしなければいけないのは資金不足比率10%ですね。
 その前提となる質問をしたいのですが,赤字が続いたときに,吉川委員,木村委員が一 番困るのは何ですか。市に補給してくれと言うことですか,それとも比率で設備投資がで きないことですか。

■木村委員
 非常に難しい質問ですが,当院の基本的な方針は,人と医療機器に投資をして,診療の 能力を高めて,それによって収益性を上げ,そういう対象になる患者さんを集める急性期 ・高度急性期病院を目指す,というものです。500床以上の自治体病院の平均に比べれば, 今は医療機器への投資額は高いと思います。しかし赤字となれば,そんなに良い器械を整 備しなくても,少しランクを落としても診療できませんか,と聞かれたときにどう答えら れるか。良いものを入れて収益を上げるとしているのに,収益が上がらなければ,それを 続けられるか。あるいは,医者と看護補助者以外の職種はこの5年で思い切り増やしてい ます。これも,人に投資をすれば収益性が上がる,少なくとも平成25年度の決算までは人 件費の増をはるかに超える収益増があったわけです。26年度は人件費の増に見合う収益増 がなかった。26年度に関して言えば,工事があったとか色々なことがありましたが,27年 度はそういう言い訳はできません。投資に見合う収益増がなければ,この方針で本当に良 いのかということになってくると思います。

■鎌田委員
 設備投資ができなくなるような起債制限は,本当に病院にとって大変なことなのであれ ば,事務局の課題となりますが,27年度いくら赤字になれば何%になるかを示した方がい いと思います。

■木村委員
 当院で言えば,26年度1.9%ですから,残り8.1%です。ですから今年は大丈夫だと思っ ていますが。

■藤田委員
 資金不足比率は病院局全体で考えなければなりませんので。

■木村委員
 そう言われてしまうと、当院の努力ではどうしようもないですから,病院局全体で考え るのをやめてくださいと言わざるを得ません。そのことは当然考えていただきたい。
 今年は大丈夫だと考えていますけれども,やはりそのラインに近づけば,積極的に行こ うとは言いづらくなりますから,危険域のそばに行かないように収めないと方針が貫けな い。

■鎌田委員
 危険域が近いからセーブしてやりましょうと言いたいわけではありません。今,函館病 院として,あるいは病院局として,何がデッドラインなのか,あといくらの赤字で10%を 超えるのかをしっかり協議した方がいいでしょうね,ということです。

■岩田委員長
 ありがとうございます。私も一言言わせてもらうと,内部で色々あっても表に出て来た 数字でまずは評価しなければいけない。大学で役員をやっていて思ったのは,人件費とか 個人的な研究費まで手を入れてしまうと,とたんに良い先生が集まらなくなるということ です。ですから人の領域に手を入れないようにするために,減らせるものは減らす努力を するのが経営者としての院長であり,病院局の仕事だと思います。

■木村委員
 病院の一番の財産はもちろん人ですから,十分理解しています。ただ,高額な公的資金 が投入されているわけですから,実際にどうするかは別として,あまりにも大きな赤字が 続けば考えなければいけない。そういうことを,職員は皆医療のプロですから,プロとし てどうなのかという意識を頭の中に入れてもらうために,こういう数字も知っていてもら いたいと思っています。

■鎌田委員
 事務局から説明があった資料の2ページあるいは6ページ。この資料の一番下の行が,単 年度の数字で終わっています。制度上の縛りが累積ベースのものであれば,累積ベースの 数字まで記載した方がよろしいと思います。パーセンテージが問題であるなら,パーセン テージも書くようにした方がいいと思います。要は病院のスタッフの皆さんで,あと何億 行くまでに頑張らなければいけないんだ,という意識を共有してもらえるようにした方が いいと思います。私はこの委員会にそういう資料が必要だといっているのではなく,少な くとも病院の中ではそれが必要だと思います。

■岩田委員長
 議論が尽きないのですが,恵山と南茅部病院からも現状の説明をお願いします。

■泉山委員
 恵山病院は,療養57床と救急用の病床が3床ということで,収益を上げるためには療養 の患者さんを,特に医療区分2,3という医療の必要度が高い患者さんを確保することにつ きますが,残念ながら外来患者さんも入院患者さんも年を重ねる度に減っています。
 外来患者さんは,恵山地区の患者さんに対応していて,人口減のせいかどんどん減って います。恵山地区からの入院患者さんも減っていて,以前は入院患者数の1/3が恵山地区, 函病からの入院が1/3,その他の市内の病院からが1/3とお話しさせていただいておりまし たが,最近は恵山地区の入院患者さんが減ってきており,函病以外の市内の病院からも減っ てきている状況です。したがって函病からの紹介患者さんが割合としては増えています。
 残念ながら恵山病院は自力で患者数を増やすのは難しい状況が続いていますので,ぜひ 函病で患者さんを増やして,医療区分2,3の患者さんを紹介していただきたいと思ってい ます。
 もちろん外来をお断りすることはありませんし,救急もやっていますが,残念ながら数 としては減っている状況です。以上です。

■東福委員
 私は恵山町に住んでいますから,恵山病院との関わりがあると思わなければならないの でしょうが,関わり合いが持てないでいます。かなり前にこのような会議の場で一度気を 失ったことがあり,その場にいた看護師さんに血圧を測ってもらい,高くなっていて大変 だということで,一時間くらい安静にしてから恵山病院に行きました。それなりに処置を してもらい,院外薬局で薬をもらいました。その後,別な病気でかかりつけの五稜郭病院 に行き,初めて循環器科で診てもらって,薬をもらいましたが,恵山病院でもらったもの と全然量が違います。五稜郭病院の方が少ないんです。あのまま恵山病院の処方で飲んで いたら,降圧剤ですから,血圧下がりすぎて逆効果ではないかと。それ以来,今でも循環 器科も五稜郭病院に行っています。私個人の意見なのですが,そういうお医者さんとの信 頼性というものが失われているのかなと。ワクチンなどは除き,大きいと思われる病気の 場合には,ちょっと疑問があると。私は平均年2回ぐらい入院しており,2~3日前にも定期 健診で五稜郭病院に行っていますが,何よりお医者さんの信頼の問題がある,いうことで ございます。
 恵山病院の収益性についてはどっこいどっこいのようですが,その要因は人工透析をやっ ているためとお伺いしました。その利益が一番大きいと。どこの企業もそうですが,病院 でも採算性を高めるために,透析の器械を入れることができるのか,現時点でそういうこ とをお考えになっているかどうかお伺いしたいと思います。

■岩田委員長
 前段については個人的なお話でもありますので,後段の件について,泉山委員から。

■泉山委員
 透析の機器は8台ありまして,月水金と火木土の2つのクールに分けて,月水金は午前午 後の16人,火木土は午前の8人,合わせて24人がマックスと今考えておりますけれども, 2~3年前に患者さんが23人くらいまで増えた時点で,広い場所に透析室を移して,機器を 増やすことを計画しておりましたが,ここ1~2年は16人くらいで推移しています。増やし たいのですが残念ながら増えてきません。基本的に透析患者さんは函病の人工腎センター と五病の腎臓内科からの紹介患者さんです。しかも外来ではなくて,入院が必要な患者さ んです。もし患者さんが増えれば機器も増やしていきたいと思っています。

■岩田委員長
 ということは今のところ,需要から考えると増やす段階ではないということですね。

■鎌田委員
 単純に,乱暴に考えてしまいますと,お客様の多くを紹介にお願いしていて,自分では なかなか売上げが取れませんと言うのであれば,紹介してもらえる患者さんからの収益に 対応するよう費用構造を変えるのが使命だと思います。逆にそうなれば函病と二人三脚で うまくいくかもしれません。

■岩田委員長
 通院も必ずしも恵山病院ではなくて,家族の車で街に出る人も多いと聞いていますので, そのあたりは函館の街の中のようにはいかないと思いますが,そこはみんなで考えてもら えればと思います。
 では次は加藤委員から。

■加藤委員
 南茅部病院ですけれども,昨年同期と比べますと,入院患者数は減少しております。う ちの病院は,今のマンパワーでは加算を取れる状況になっておりませんが,昨年途中から 13対1から10対1にしましたので,多少単価は上がっております。昨年と比べて患者数が減っ ている理由は,感染症があまり多くない。やはり人口も減っておりますが,感染症がこれ から増えてくると,入院患者も増えてくると予想しています。加算が取れないので単価を これ以上上げるのは制度的に難しいです。少なくともうちの病院が選ばれなくなるような ことにはならないように,住民の皆さんの信頼を得られるような医療を続けていきたいと 思っています。

■岩田委員長
 ありがとうございます。
 やはり病院局として,トータルでバランスを取りながらやる方向性が必要だと思います。 何か一言ありますか。

■吉川委員
 病院の機能ということを理解していただいたうえで,病院を評価していただかなければ ならないのですが,そこのところは説明が下手なのか,なかなか我々の意思が伝わりませ ん。例えば市立函館病院であれば,高度急性期を目指したうえで,こういう経営方針で採 算性を合わせていくという意味が,市の当局でもあまり分かっていただけないことがある ように思う時があります。そこは私の責任で説明していかなければならないのですが,例 えば今の恵山病院の診療に対する不信感と申しますけれども,恵山病院に専門医を置いて, 循環器科をやるわけにはいかないという構造になっています。そのために医療療養型の病 院の形を取っているのですが,それが住民には理解されていなくて,病院は病院だという ふうな理解しかないというところが残念かなと思います。
 過疎地域にとってどういう医療が必要なのか,これは住民側の意識の問題ですから,住 民がどういう医療を求めるかを,今後,調整会議などの場で住民の意見として出していた だかなければ,病院局としても恵山,南茅部にどういう医療形態を作るかの検討が前に進 みません。そこを説明するのが病院局だといわれますが,なかなか難しいところです。
 我々が考えているのは,ひとつは最低限の入院施設があること,夜間とか本当に困った ときに簡単な救急医療を受けられること,それが過疎地域の医療なのかなと思っています けれども,それだけをやれば非常に採算性が悪いわけで,そのために苦肉の策で透析をやっ てみたり10対1の病床を作ったりしているわけです。そういう形でやっているということを なかなか分かっていただけないところが苦しいところかなと思っています。

■岩田委員長
 患者さん全員が病院の実態を理解するのは難しいと思いますが,説明をしていただけれ ばと思います。
 あと議題2つ残っていますので,本件に関してはこれで今日は終わらせていただきたい と思います。次の議題について簡潔に事務局からご説明願います。


□資料に基づいて田中課長説明
 ・コンサルタント会社のベンチマークデータについて


■岩田委員長
 典型的な例なのか,全体で何項目あって,ざくっといって函館病院はどういうレベルな のかということをお聞きしたいのですが。

■木村委員
 すごくばらつきがあります。良いものがあれば悪いものもある。この診療科が良いとか この診療科は悪いということではなくて,DPCという仕組みは,同じ病気でも手術だけの場 合とか,手術もして抗がん剤もやった場合とかで,複雑に枝分かれしています。この大腸 がんの手術は比較的良い方ですが,同じ消化器外科でも悪いところもある。これは一つず つ入っていかないとどうしようもない。一つずつは確かに小さいけれども,例えば手術で あれば,年間3,000件ありますので,抗生物質だけでも1日1,000円であればそれだけで年間 300万円になるわけです。そういうものを積み重ねれば,かなりの額になります。枝分かれ が多いものですから,全てのコードについて情報提供されても逆に困りますし,件数が少 ないものは効果が薄いので,ある一定の件数があるものについて診療科にデータを渡して, どこの部分が見直せるのか検討してもらっています。
 このデータを見るまでは,我々の感覚としては,抗生剤の使用日数はそれほど長くない と思っていました。昔はもっと長くやっていて,結構削ったと思っていたら,世の中はもっ と削っていました。数字が出てくれば,そうだなと思いますし,1日減らしてみようと思 いますが,そういうのを知らずに削ってくると,ここまで削ったからいいよね,となって しまいます。こういう形で一つずつ出して,できるところをキチンとやっていくという使 い方をしようと考えています。

■岩田委員長
 各専門領域に配布されたところで,その実行率をどうやってチェックするかを是非ご検 討いただきたいと思います。

■木村委員
 定期的にデータがコンサル会社から来るわけですから,次にデータが来るときには,抗 生物質のところが内側にちゃんとシフトする,だけどアミノ酸の領域は我々はやった方が 良いと思っているので,アミノ酸のところは赤のままで来るかもしれない。それは判断で すから,それぞれ3か月,6か月後にどういう割合で変わったのかを見ると,どこを頑張っ たのかが分かると思います。

■岩田委員長
 そういう活用をお願いします。
 では時間がないので次の資料の説明をお願いします。


□資料に基づいて田中課長説明
 ・地域医療構想策定スケジュール(案)等について


■岩田委員長
 この件について何かございますか。

■木村委員
 注意しなければならないのは、各医療機関が報告した病床数は病棟毎の機能です。50床 の病棟があった場合,26人高度急性期の患者がいれば高度急性期50、26人急性期がいれば 急性期50です。これから考える地域医療構想というのは病床数の話です。50床の病棟に高 度急性期の患者さんが20人いても,その病棟の届出は急性期病棟ですから,高度急性期20 はこの資料からでてきません。各病院がこういうことを考えているという参考資料にはな りますが,実際の検討に直接使うのには問題があります。五稜郭病院も中央病院も高度急 性期の患者はたくさん診ていると思いますが、一つの病棟の半分以上いかなければ報告に 上がってこないと思われます。実際の高度急性期の病床としては,それぞれの病院が自分 のところでは一定の患者数がいて、必要だということになると考えられます。
 それから全体として20%削減です。追加で北海道総合保険医療協議会地域医療専門委員 会の名簿を資料として提出しました。北海道全体について検討する組織です。この名簿を 見てもらえれば分かるとおり,札幌・旭川と三大学以外の現場の委員は,私と帯広厚生病 院院長の2人しかいません。国から都道府県に出してきた案は東京と大阪の人が考えてい ます。北海道の案はほとんど札幌ですから,これは我々のような地域にとっては非常に厳 しい状況です。20%の病床削減について、2025年の人口推計は国が指定したものです。我 々はこんなに減らないように努力していますと言っても,それは減らなかったときに修正 してもらえばいいので,今回はこの減った人口でやってくださいということです。また、 患者さんの数はナショナルデータ等から出していますので,20%減らすというこの数をエ ビデンスをもっていじるのは難しい作業です。調整会議の提案の幅が狭いということは知っ ていていただければと思います。

■岩田委員長
 合意ではなく決め事でしかないというということですか。

■木村委員
 調整会議で何が要求されているかというと,地域で話し合って,2025年に必要とされる ベッドの数を決めてください,そこにたどりつく方法論を考えて下さい、です。そのため に必要な想定人口と患者数の資料は提供しました,と言っています。

■岩田委員長
 その数字がこれですね。

■木村委員
 そのとおりです。
 それから,最終的には北海道としてまとめます。北海道全体での数が決まっていますか ら,我々の地域がもし増えるとすれば,どこかを削って取ってくることになります。そう すると余所から取ってくる根拠がどこにあるのか,ということをしっかり示さないとなか なか難しい。

■岩田委員長
 生き残りゲームのような話になっていますね。そのあたりはまた逐次経緯を教えていた だければと思います。とにかく最初に金ありきという感じですね。

■木村委員
 この話は最初からそういう話だと思います。しかしそれじゃおかしいという話をある程 度通せるか,というところだと思います。

■岩田委員長
 大分時間も過ぎておりますので,今日はこれでおしまいにさせて頂ければと思います。 皆さん長い間ありがとうございました。では事務局お願いします。

□秋元次長
 どうもありがとうございました。次回の委員会は,27年度上期の実績を議題として,お よそ11月の開催を予定しております。開催にあたりましては,改めて皆様にはご案内させ ていただきたいと思います。それではこれで本日の委員会を終了いたします。

■岩田委員長
 遅くまでどうもありがとうございました。


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