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平成23年度 第3回 函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

日時:平成24年2月21(火) 17:30~19:00
場所:市立函館病院2階講堂
出席者:岩田委員長,鎌田委員,藤原委員,秋本委員,
     吉川委員,木村委員,田鎖委員,渡辺委員
事務局:秋元次長,松塚庶務課長,相馬経理課長,野呂医事課長,小川参事,
     大島医療連携課長,吉田恵山病院事務長,加我南茅部病院事務長



1.開会

□秋元次長
 本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。定刻となりましたので,ただいまより平成23年度第3回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
 本日,伊藤委員,中林委員は他の用務のため欠席となっております。
 それでは本日の議事に入らせていただきたいと思います。岩田委員長,議事の進行をよろしくお願いいたします。


2.議事

■岩田委員長
 天候の悪いところご苦労様です。本日議題は3つありますけれども,事務局からまとめてご説明願います。

□資料に基づいて相馬課長説明
・平成23年度病院事業にかかる主な補正予算について
・函館市病院事業の事業実績(平成23年12月末現在)
・平成23年度の収支見通しと24年度予算案について

■岩田委員長
 はい,どうもありがとうございます。
 質問に移りたいと思いますけれども,順次ご意見を伺います。

■鎌田委員
 3ページの23年度の収支見通しですが,特別利益の29億円というのは一般会計からの特例債の返済のための繰入金ということですか。

□相馬課長
 はい,そうです。

■藤原委員
 同じく3ページの下の方にそれぞれの病院の収支が出ていますが,大変努力されて黒字化されていると思うんですが,恵山病院と南茅部病院がもう少し経営努力をされると数字が良くなるのではないかなと。

■岩田委員長
 それについて何か意見はありますか。函館病院以外の病院の経営努力の方法があるかということですが。

■渡辺委員
 恵山病院は1,100万円の黒字を出した年がございます。平成20年度の途中から療養病床に一病棟化しまして,平成21年度からは透析なども強化しまして単年度黒字となりました。その後は退職金等の支出もありまして赤字になっていますけれども,色々な工夫をすれば,大きな黒字は難しいですが,収支均衡はできるのではと思っております。
 南茅部病院ですけれども,同じように一般病床に一病棟化しまして,平成21年度の赤字額は単年度で4,400万円ということで,以前に比べ相当縮めることができました。しかしながら,赤字基調というのは脱せない状況があります。
 南茅部病院の入院基本料は,従前15対1でしたが,平成23年度は入退院調整に力を入れ13対1,10対1と上位の入院基本料を取得しております。一方で地域のニーズとして療養病床のように長期的に入院する患者さんもいらっしゃるので,病床の管理に苦慮しているところがございます。24年度以降は13対1ないしは10対1という入院基本料を確保しつつ,できるだけ地域のニーズにあった病床のあり方を考えながら,少しでも赤字幅を縮めていきたいと考えております。

■秋本委員
 報告あった件については一定の理解をしました。
 一つだけお知らせ願いたいんですけれども,6ページの南茅部病院の資本的支出のうち,繰上償還となる特例債の額はいくらになりますか。

□相馬課長
 特別利益に記載されている額がそのまま通り抜けという格好になっております。ですから29億円の特例債のうち,南茅部病院分は6億6,300万円,というふうに見ていただきたいと思います。恵山病院分は4億4,800万円,函病分が18億1,000万円という内訳になります。

■秋本委員
 決算資料などは,コンプライアンスされていますので異議はありませんが,先の報道によりますと,地方公営企業に2014年度から民間並みの財務諸表作成を義務づけることが閣議決定されたということです。主な見直しとして,設備投資の際に発行した企業債が借入資本金から負債になることや,過大となっている固定資産の帳簿価格を適正金額に引き下げるという減損会計を導入するということ,それから退職給付引当金の義務化などで,私はこれにより結構大きな数字の変動が出ると思っています。今までくどく申し上げていたことがルールとなりますので,非常に良かったと思っておるわけです。
 病院の使命は大きく2つあると思います。1つ目は良質な医療の提供,2つ目は病院会計においても財務基盤の確立ということが大切だと思います。地方の医療に対する,あるいは市立函館病院に対する医療政策,政治政策というものを少し考えていただきたい。甘えるわけではないですが,一般会計で医療政策として見ていただかなくては大変ではないかということを考えております。病院にも努力は大いにしていただきますけれども,私は医療のことは詳しくありませんが,せめて財務関係のことについての意見を述べていきたいという認識でいるということを申し上げておきます。

□相馬課長
 会計制度の見直しにつきましては,従前から秋本委員からお話しをいただいておりまして,今お話あったとおり今年1月に関係政省令の改正も行われております。もともと地方公営企業会計の制度自体が昭和41年の創設で,国際基準や民間基準に合わせるようにということで,国の方で見直しを進めてきた経過があります。
 現在,逐次国の説明会が開かれておりまして,我々としても,新年度から具体的に電算システムのカスタマイズ等を行っていく予定です。平成26年度の予算から新制度が適用となりますので,事務的には平成25年度の秋口には大体システムが固まっていて,26年度から新しい制度で行っていくというスケジュールになります。ですから平成24年度は,ほぼシステムのカスタマイズ作業やデータの整理というような作業になっていくと思います。

■秋本委員
 ありがとうございます。民間並みのものになれば非常に見やすく,判断しやすいと思っております。

■鎌田委員
 会計制度のことで若干補足します。負債というのは返さなければならないものですが,日本の公営企業会計では,設備のために借り入れたものであれば負債ではなく資本になるという世界になっていたものが正常化されるというだけの話です。これについて事務局の皆様にお願いがあるのですが,この会計基準の変更によって諸比率が悪くなることが想定されます。従ってなるべく早めに試算される方が良いと思います。
 減損会計はパブリックセクターでは非常に難しいです。民間企業であれば収益の上がらない資産は評価を落とせということですが,パブリックセクターは収益がほしくて運営しているわけではありません。では何を持って減損すべきかとなると難しく,たぶん中途半端なことになると思います。
 退職給付引当金はお勤めの先生方がどういう雇用形態であるかで全く変わってきます。ただ,数字的にはみんな悪くなるでしょうから,試算はされた方が良いと思います。
1つ質問ですが,資本的支出のうち,特例債返済以外に15億円位あるのはなんですか。

□相馬課長
 その部分は他の企業債の償還となります。大きくは函病の建物や医療機器の企業債償還金です。

■鎌田委員
 その原資はこの場合何になりますか。

□相馬課長
 対応するのは資本的収入の部分です。

■渡辺委員
 繰出基準というものがありまして,病院事業の企業債償還金には交付税措置もあるので,基本的に半分は一般会計が繰り出しなさいとなっています。ですから,自前の医業収益で半分を返すということになります。おおむねそういう形です。

■鎌田委員
 わかりました。29億円の特例債の早期弁済についてですが,市民のための病院が,金がないから医療機器の更新ができないとなると大変です。その足かせをとく方法があるなら,といた方が良いでしょう。これについてはお願いした方も立派ですし,お願いされて受けた方も立派だと思います。この話は病院サイドから見ればそれで終わりです。
 あとは一般会計の方で,市全体として,病院事業だけではなく市民全体のために,財政上まかないきれるかどうか,という論点になるのであって,それはここで論じる話題ではないと思いますが,市の財政は大変ですよ。以上です。

■岩田委員長
 私が思ったのは,これから繰上償還をし,起債をしていくということなんですけれども,具体的に現在どこまで困っておられたのか,どの程度の老朽化等があったのか,この文章だけではわかりにくいんですけれども,そのあたりをご説明願えますか。

■渡辺委員
 市立函館病院は平成12年10月に移転新築しまして,その時に色々な医療器械等を導入しました。医療器械はだいたい6~7年が耐用年数ですが,10年以上使っているものも多くあります。それもだいぶ傷んだり陳腐化してきており,更新が必要な時期なのですが,起債発行の制限があって,リース方式での必要最小限の更新しかできない。それが経営上,医療上の足かせになっていたということがあります。

■岩田委員長
 ちょっと聞き方が悪かったんですが,要はがん拠点病院とか,道南の中核病院という位置づけなんですが,その位置づけに見合った設備,技術があるのか,まだまだ足りないのか,そのためにはどうしたらいいのか,というあたりのことがお聞きしたかったのですが。

■木村委員
 病院の機能は最終的には人ですが,ある程度以上のレベルの機器整備ができていないと,優秀なマンパワーは確保できません。来てもらってもこの環境ではやれません,ということになります。6~7年前の最新の機械は今でも動きますが,医療機器は日々進歩していますので,壊れた時点で買えばいいでは,目標とするレベルは維持できません。
 医療は常に進歩しますし,患者さんからの要求にも対応して,機器は更新していく必要があると考えています。

■岩田委員長
 前回もお話しさせていただきましたが,要するに22年度に大きな売上が出たということで,補正を組んで特例債を先に返すということになったと思うのですが,それを少し先延ばししてでも設備投資や,若い先生が是非来たくなる病院にするというような手を打つべきではないか。そういう投資と今回の補正にギャップがあるのではないか,そのあたりの思いが知りたいのですが。

■木村委員
 現場から言えば,この世界は常に十分ということがありません。マンパワーの確保に関しても,いくらでもできるというわけではありません。現状認識としては,少なくとも最低限のレベルは維持できるだろう,あとはそれにどれだけ上乗せできるかというところで,これではやっていけません,というレベルからは脱却できると思っています。

■岩田委員長
 わかりました。マンパワーが期待どおり来る世界ではないことは理解しています。いつの間にか若い人が集まるような設備投資はやっておくべきでしょう。

■木村委員
 そのように理解していただければ,現場として非常にありがたいと思います。

■鎌田委員
 私も木村委員と委員長の説に賛成です。病院というのは人でできています。一度人がいなくなれば大変です。そのために必要な手立てをするのは大賛成です。あとは,この大きな病院を本当に函館で持ちきれるのか,という話が別枠であります。ただ,それはここで議論することではないし,繰上償還は与えられた枠組みの中で最善の努力をするということで,合理的な選択だと思います。

■岩田委員長
 私が今回の資料で気になるところを申し上げます。この数年非常に頑張られて,病床稼働率はそうでもないけれども入院日数は低下してきて診療単価も上がってきている。起債で新しい機械を入れて,それが返せるかどうかはこれから先の話ですよね。医師も思うとおり集められる世界ではないし,集まらなければ患者さんも増やせる世界ではない。となると残りは体質を強化するために,基本的な経費をどうするかです。その中で給与費はなかなかいじれない,となると,毎回同じことを言いますが,材料費,経費,ここにどれだけ手を入れるかだと思います。
 私が企業にいたときの経験から言うと,材料費,経費が金額的にほぼ同じ額で何年か経過しているということが,どうしても理解できない。買い方,使い方,払い方,ストックの仕方,色んなことが絡んでいると思いますが,24年度は金額が増えています。ここを何らかの形で,2ケタ,10パーセントのオーダーで下げるような手をお考えになるべき,下げる努力があってしかるべきと思います。このあたりについてどうお考えになっていますか。

■木村委員
 現場レベルでできることと,管理部門でできることがあって,現場レベルでできることは指示して,かなり実施されていると思います。100円のものを95円・90円で買うという話と,100円のものじゃなくて80円のものに代えましょうという話は,実際はなかなか難しいところがあります。1パーセントならできるかもしれませんが,委員長がおっしゃるように,あと10パーセント下げられるかというとなかなか難しいです。

■岩田委員長
 難しいというのは制度上のものですか。それとも人の問題ですか。

□相馬課長
 いつも材料費の部分でご指摘いただいて,我々は買い方を担っているわけですけれども,どこの病院でも難しいところで,薬品,材料は一つずつ入札という仕組みにはなっています。値引きの交渉も私どもなりに最大限努力していて,卸さんとの関係でここで具体的には申し上げられませんけれども,ここ3年で値引率は数パーセント上がってきています。10パーセントのカットにはとても届きませんけれども。

■岩田委員長
 買い方はそういうことですね。あとは使い方,選び方ですが,やはり難しい世界ですか。

■木村委員
 どの程度診療の自由度を認めるかという問題にかかわります。例えば,エビデンスで言えば,この薬とこの薬は同じだけれども,経験上この薬の方がいいと実感している,こういうケースをどうするかという問題だと思います。最終的には,良い診療成績が最も大事なポイントで一番の目的です。それを達成するために,一定の許容範囲の中でコストについても診療部門の自由度はあって良いというふうに思っています。院長就任時からずっと言っていますが,この病院の規模であれば通常の繰入をいただいて,2~4億円の黒字を確保できていれば,あまりにローコスト・ローコストと言うことは,現場からクオリティを後回しにしていると受けとめられかねません。経営を圧迫するようではもちろんダメですが,ミディアムコストぐらいで,ハイクオリティが保てて,病院の経営も維持できるのであれば,それも一つの考え方ではないかと思っています。あまりローコストを言い過ぎるのは問題だと思います。

■鎌田委員
 おっしゃるとおり,現場の医師の方々が薬代のことばかり気にかけるようではよろしくないと思います。あとは買い方の問題です。現状の組織では,薬の種類を決めるのは先生方で,その購入額を決めるのは事務方ということですか。

■木村委員
 どういう薬を採用するか決めるのは現場です。価格は事務局です。

■鎌田委員
 どういう薬を採用するかによって変わってくるでしょうけれども,買い方を工夫するのが話しが早いですね。買い方を工夫する分には現場には影響はない。とりあえず公営企業の病院については,総務省から全自治体病院のデータが出ていますので,材料比率などを調べてみてはどうですか。

■岩田委員長
 調べていますよね。どうでしたか。

□相馬課長
 材料費比率については,去年6月の当委員会で提出した資料にもありますけれども,平成22年度で材料費対医業収益の比率を見ると,函館病院が26.9%でした。同規模の民間病院で27.7%,0.8%函病の方がローコストになっています。自治体病院は31.3%,公立の黒字病院で30.9%,公立病院の上位1/2で29.6%なので,22年度の26.9%というのは全国的に見てもかなり良い数字であると。ただこれが毎年この比率でいけるかというところだと思います。

■岩田委員長
 非常に気になるのですが,今がそこそこのレベルだと聞こえるんですよね。改革プランが始まって色んなことをやってここまで来た,もうこれ以上はやることがない,というふうに聞こえて,どこに手を付けるかということがちょっと見えない。

■木村委員
 病院としての機能を高めるために,今やっていない,やれていない医療をするということが確かにあります。経営が結果としてどうなるかということは,診療能力の質的な広がりがあれば結果はついてくるような制度に大体なっています。今までやっていない特別な取組をというよりは,病院全体の診療能力を高めるため,失われている診療科をどうするか,もう1つ,既存の診療科をどうレベルアップするか,この2つが大きな課題だと思います。
 マンパワーの確保も診療機器の整備も結局そのためにやることです。例えば看護師の配置を10対1から7対1に切り替えたら,これだけ診療報酬が上がったとか,後発品に切り替えたから何億円コスト削減したとか,そういう部分はもうあまり多くはないですね。診療レベルをどれだけ上げられるか,この後の病院を進化させるのはそれだと思っています。

■岩田委員長
 先ほど確認したように,設備面については頑張れば金で解決できる。7対1を5対1にするなどは,看護師さんの採用は,医師に比べればある程度計算できるでしょう。
 しかし,医師については毎回説明いただいているように,望んで採用できる世界ではない。ということになると,今の状況から大きく変わる要素はあまりないと私は受け取ったわけですね。この病院がこれから先どうなっていくかというところは,院長である木村委員がどうお考えになっているかで変わってくると思いますが。

■木村委員
 医師の拡充には常に努めるということを前提にした上で,医者が増えなくても診療能力が上げられるかということになると思います。この数年で,実は今年が一番医者が少ないんです。一昨年は赤字ですけれども,一昨年よりも今年の医者は少ない。何が違っているかというと,メディカルスタッフです。医療クラーク,看護師が増員された。医者がすぐ増えなくても,その周辺のマンパワーを増やすことによって,全体の診療キャパシティを上げることができる。しかもクオリティもある程度上がる。病院としては24年度から薬剤師,臨床工学技士,リハビリセラピスト,放射線技師など,急性期病院に必要なメディカルスタッフを充実させていくことによって,同じ医師数であってもより多くの患者さんをより高いレベルで診療できる体制をつくりたいと考えています。
 そういう環境を作りながら,医師の拡充も図る。いつも医者と看護師さんの話になりますが,他のメディカルスタッフを充実させることが病院の機能にものすごく重要です。今増やすことで,今後効いてくると思います。

■岩田委員長
 そうすると,あとは市がどう考えるかということが出てくると思います。

■鎌田委員
 先ほど委員長がおっしゃった材料費,経費のお話しですが,高いのではないかという印象が,私にもあります。そういうとき一番良い方法は,ネタをざらっと並べることだと思うんです。要は情報公開です。先ほど数字を教えてもらいましたが,年度によって違ってきます。これまでの推移をずらっと並べて開示するとか,自治体病院のデータを良い順から並べて出してみるとか。そういうネタを並べれば議論は収束するわけです。そういったこともお考えいただければと思います。
 2つ目は,吉川委員と木村委員にお伺いしますが,民間であれ自治体病院であれ,トップが収支や損益,あるいは財務に責任を持つということは普通でしょうか。それとも収支は事務局が責任を持つのが普通ですか。

■木村委員
 事務局まかせではダメだと思います。病院は病院長が全責任を持つという形でなければできないと思います。病院の収入は診療から入ってくるわけですから,病院長の100%の責任で,赤字が出れば病院長の経営が悪い,たくさん黒字が出れば腕が良いと,そう評価してもらうしかないと思います。

■鎌田委員
 そういう職務権限の方が病院としては進化すると。

■木村委員
 そのとおりです。分けられては何もできないと思います。

■鎌田委員
 であれば,市立病院の材料の買い方もちょっと違うのではないですか。

■木村委員
 病院長が経営責任を持つことと,病院長が実際にどこまで細かく入るノウハウを持っているか,ということは別です。病院長は,病院の診療に対する考え方だけを出すのではなくて,経営についてもこうあるべきだと,それをするためには専門部署の人たちがこういう形で頑張って下さいと出すべきです。後は任せるしかない。任せて出た結果はすべてトップの責任で,結果が悪ければ任せたトップの責任だと思うんですけれども。民間病院,企業と全然変わりないと思います。

■鎌田委員
 ぜひ,そういう組織と権限の体系に切り替えたらいいと思います。

■木村委員
 ほぼそうなっていますよ。

■岩田委員長
 何度も同じことを言うんですけれども,これだけ色んな数字が良い方向に変わっているのに材料費と経費だけが24年度まで変わらないというのがどうしても理解できないんです。

■吉川委員
 1つは収益構造としての診療科の変動というのがあるんです。ハイコストの診療科とローコストの診療科がある。その年その年の医者の数や配置によって,ローコストの診療科が頑張れなくてハイコストの診療科が頑張るということがあるので,材料費比率の上下だけでは評価できない部分があります。
 もう1つは,平均在院日数の短縮を進めていくと,どうしても材料費比率は上がります。あとは経費の中の委託料ですが,民間であれば有無を言わさずカットということもできるのかもしれませんが,公立病院ではできません。委託業務の内容をかなり精査して,ここは減らしても良いという業務が見つかれば,削れるかもしれません。
 ただ平成18年度くらいから事務局の努力もあって1億円位は減らしているんです。毎年少しずつ減っているので目立ちませんけれども,それなりに努力してやっています。あとは専門的な分析が今の人員,能力でできるかということで,そこは課題が残っているかもしれません。

■鎌田委員
 今,吉川委員がおっしゃったような,詳細に詰めていってあとどのくらい切り詰められるか,ということはもちろんあると思いますが,病院にとって資源である医師や看護師さんのこれ以上のハードワークにつながると元も子もありません。
 私が先ほどの話でイメージしたのは,各診療科の責任者から見て,ここの部分をやらせてくれたらもっと収支に跳ね返るよ,とか,そういう話が出れば素晴らしいなということなんです。

■木村委員
 それは素晴らしいことだと思います。ただ,現場の診療のトップにまず考えてもらいたいことは,診療成績の向上です。こうやれば今まで助けられなかった患者さんが助けられるとか,今まで苦労していた患者さんがもっと楽に治るとか,そういうことが先ず第一で,それをやった上で病院全体としての収支バランスが取れますねということを院長がみていればよい。現場は常にハイクオリティを一番先に考える病院でなければ,良いマンパワーが集まらない。ちゃんとした診療をする人は,実は経費をむちゃくちゃ使うことは殆どありません。腕のいい人はそうなるんです。ですから大事なのはハイクオリティだと常に考えていなければいけない。

■岩田委員長
 何度も同じことを言っていますが,あらゆるところで常にこれで良いのかという見方をする,ということが必要で,それをやると必ず数字は動くと信じています。動かないというのは余程固定的なのか潜在的にそうなっているのか,そこだけ回答いただければ毎度同じことを言わなくて済むとは考えています。他に何かありますか。

■秋本委員
 1ページに書いております22年度末の24.9%という資金不足比率ですが,医業収益に対する資金不足という理解で良いですか。

□相馬課長
 キャッシュフローの不足の累積である資金不足額と病院特例債の29億円の合計を,医業収益で割ったパーセンテージです。

■藤原委員
 繰り返しになりますが,医師の方々の努力で数字が見えてきている中で,やはり委員長おっしゃられる経費の節減に努めていただければと思います。

■鎌田委員
 病床数について,ご説明の中で634床が536床運用とありました。100床くらい使っていないのは7対1看護の看護師数から来る制約ですか。

■木村委員
 7対1もありますけれども,今ある診療科全体の診療力の制約です。今の急性期診療であれば,医師も看護師も500人を超えればちょっともたないかなと思います。どう頑張っても500人ぐらいがマックスの診療力だと思います。ですから540床くらい動かすと500人ぐらい入って92~93%というところがマックスの目標でいいということです。

■鎌田委員
 7対1に限らずマンパワーの問題ということですね。

■木村委員
 仮に看護師さんの数だけが充足していても,実際の診療全体のキャパがまだそこまでない。平均在院日数もまだ短くできると思っていますから,逆に言えばたくさんベッドをもつ必要がないということです。

■吉川委員
 新しい診療科を増やせば別ですが,現状ではこの数字です。

■岩田委員長
 意見は出尽くしたと思いますので,今日はこれで終わりにします。事務局にお返しします。

□秋元次長
 ありがとうございました。以上をもちまして本日の委員会を終了いたします。次回の開催日につきましては,改めて日程調整させていただきますのでよろしくお願いします。本日は誠にありがとうございました。

 

3.閉会

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